先だって、CNNが買収するかも知れないといううわさが立ったスタートアップ企業がある。マッシャブルというニュースサイトだ。

 マッシャブルは、ソーシャルメディアに関するニュースを中心に、インターネットカルチャーやテクノロジー、ビジネス、エンターテインメントなどのニュースを集めたサイトである。

 その額2億ドルともいうCNNの買収説はその後なりを潜めているが、関係者は揃ってCNNとマッシャブルの親和性は非常に高いとする。マッシャブルに集っている読者は、ソーシャルネットワーキングが好きで、買収すればそのコミュニティーをごっそりと引き入れることができるからだ。

 CNNは、ニュースメディアの中でも新しい実験を数々積極的に試みており、市民ジャーナリストによる投稿を統合したり、複数のニュースサイトやソーシャルメディアからの情報を見やすいレイアウトにして表示するソフトを開発した会社、ザイトを買収したりしている。マッシャブルのニュースも、すでにCNN上に配信されている。そこへマッシャブル自体を加えれば、コンテンツの面でも読者コミュニティーの面でも、最新のニュースメディアになることができるのだ。

 マッシャブルは、2005年にスコットランドで創設された。創設したのは、テクノロジーコンサルタントだったピート・キャッシュモア。当時19歳だったキャッシュモアは、盛り上がりつつあるソーシャルネットワークの様子を詳細にわたって伝え、いつも一番新しいトレンドを紹介した。それが注目を集め、トップブログのひとつに数えられるように。現在はニューヨークが拠点を移し、その間に、有数のメディア企業で経験を積んだ人材などを雇い入れて、今や数十人の従業員を抱える立派なニュース企業になっている。

 CNNの買収がどうなるかは不明だが、マッシャブルの成功にはいろいろ学ぶ点がある。たとえば、そのニッチさだ。