中国専門の投資銀行バロッホ・グループのロナルド・シュアン会長は「中国は技術革新の促進に取り組んでいる。しかし成功を収めたイノベーション企業がすべて海外で上場すれば、みっともないことになる」と述べた。

 一方、香港取引所のリーCEOは、中国本土の取引所との上場誘致合戦の激化という見方に否定的だ。CEOは今月3日の会合で「多くの企業が本土での上場を検討しているのは間違いない。しかしわれわれも香港での上場に意欲を持つ企業群に期待を寄せている」と述べた。その上で「競争は常につきまとうが、本土と香港の資本市場には根本的な違いがあり、直接競合することはない」とした。

 香港取引所は第2・四半期に加重投票権制度を導入する見込み。

 銀行筋によると、中国本土の取引所が香港取引所とどこまで競えるかは、中国預託証券(CDR)の規則運用に掛かっている。CDRは人民元建てで取引される見通しで、ドル建ての米国預託証券(ADR)や香港ドル建て株式との間で裁定取引の機会が生まれそうだ。中国政府はこの問題について取引所や銀行の関係者とまだ協議を続けている。

 中国は本土で取引される個別銘柄の1日の値動きに上下10%の制限を設けおり、この規則がCDRには適用されるとみられる。このため市場関係者の間からは、米国と中国本土の両方に上場した銘柄が、米市場で値動きが10%を超える一方、中国本土では値動きが抑えられるという問題が起きると危惧する声も出ている。

 またUBSの試算によると、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)、アリババなど中国のハイテク大手4社が仮に5%株式を中国本土で売り出せば、市場から550億ドルの資金を吸い上げることになり、オンショア市場で流動性が大幅に低下し、他のIPOに支障が生じる恐れもあるという。

(Samuel Shen記者、Julie Zhu記者)

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