地銀の再編道半ば、ようやくトップから「大蔵OB」外しの例もコンコルディアFG社長が寺澤辰麿氏(左から2人目)から川村健一氏(右から2人目)に交代。横浜銀行頭取に大矢恭好氏(右端)が就く

「2年の歳月をかけ、ついに完成したようだ」──。ある金融庁幹部は、地方銀行界で起きたトップ交代劇を見届けて胸をなで下ろした。

 舞台は、大手地銀持ち株会社のコンコルディア・フィナンシャルグループ(FG)。横浜銀行(神奈川県)と東日本銀行(東京都)を傘下に持つ同社は3月29~30日、FG社長と2行の頭取を6月に交代すると発表した。これは、横浜銀や金融庁の関係者にとって待望の人事といえる。

 というのも、長らく横浜銀の頭取は大蔵省(現財務省)OBの“指定席”。生え抜きトップが宿願だったのは言うまでもない。

 だが、コンコルディアFG発足直後の2016年6月に、初の生え抜き頭取に川村健一氏が就任したものの、大蔵OBの寺澤辰麿前頭取がFG社長に就いたため“大蔵体制”は継続。「寺澤社長は17年度まで」と行内でささやかれていたが、同じく大蔵OBの石井道遠FG副社長と共に要職に残る路線で議論が進んでいた。

 これに業を煮やしたのが、森信親長官の下、銀行に「ガバナンス改革」を求める金融庁だ。「トップが代わらないと銀行は変わらない」(別の金融庁幹部)と言い切った手前、大蔵省を母体に持つ金融庁が身内に手加減したと疑われるわけにはいかなかった。