ワングラムが発行する仮想通貨は、1個につき最低1グラムの現物の金が厳重に保管されている。投機的売買を制限するための方策だ。

「金はイスラム社会における通貨の最初の形だ。したがってこの暗号通貨はイスラム的に問題がない」。昨年ワングラムを共同で設立した英国人のイブラヒム・モハメド氏はそう語る。

「私たちは、シャリーアから導かれるルールや規定がブロックチェーン技術と完全に両立することを証明しようと努めている」

 ワングラムが発行した仮想通貨は、これまでに数千万ドル相当に達している。予定発行枚数の約6割はまだ発売されていない。5月末にコインを取引所に上場するまでに、全てを発行したいという。

 ワングラムは、ドバイに本拠を置くアルマーリ・コンサルティングから、同社の仮想通貨がシャリーアの原則に準拠しているという裁定を得ている。

 アルマーリは、シャリーアの基準に照らした金融商品の適否について見解を提供する、世界に数十社あるコンサルタント会社の1つだ。

 昨年10月、マレーシアで金に裏付けられた暗号通貨のICO(イニシャル・コイン・オファリング)を行ったハローゴールドも、やはりクアラルンプールに本拠を置くアマニ-・アドバイザーズのイスラム法学者による承認を得ている。

 ハローゴールドで最高マーケティング責任者を務めるマニュエル・ホー氏は、自社のコインについて、取引が所定の期間内に行われるためボラティリティーが限定的であり、価格決定の曖昧さという問題も対処されているため、イスラム的だと説明する。

 他の試みとしては、アラブ首長国連邦のハラル・チェーンが、イスラムにおいて許容されている資産データに紐付けられた仮想通貨のICOを12月に実施している。

シャリーア委員会

 湾岸諸国や東南アジアにおける銀行活動のうち、シャリーアの原則を遵守しているのは20─30%にすぎない。多くのムスリムは、利回りの高さや利便性に惹かれて、通常の金融機関を利用している。

 とはいえ、教義上許容されるかという問題の影響力は大きく、公式にはシャリーア遵守を約束しているイスラム系のファンドや金融機関が暗号通貨の取引を左右する可能性がある。