中南米 2018年5月15日

経済危機下で仮想通貨が人気!?
ベネズエラの仮想通貨の現状は?

風間:ミートアップなどで、ビットコインを販売して欲しいという人たちには少額からでも売ってあげているとのことですが、いくらぐらいを買いたいという層が多いのでしょうか。

グスタボ:100~500ドル近辺が多いですね。平均すると300ドル前後という感じではないでしょうか。高額なものは、私は扱っていませんしローカル販売なので高額取引をするのは買う人も怖いと思います。

風間:現在ベネズエラは経済危機でハイパーインフレに陥り、紙幣が機能していないという状況で、そのなかで仮想通貨が「金」の保有に近い感覚で、資産防衛のために買われているというのは簡単にイメージできます。だとすると、プレミアム価格がついていたりはするものでしょうか。例えば、現在の世界の市場価格より仮想通貨が割高で取引されているということはありますか。

グスタボ:それはありますね。私が販売するケースですと、市場価格よりマックスで15%ほどプレミアをつけて販売しています。例えば、市場で1ビットコインが8000ドルのケースですと9000ドルほどの売値を想定して販売したりしています。平均すると、10%ぐらいのプレミアというか、交換する際の私の手数料になります。

風間:やはりプレミア価格はついているのですね。中南米はローカル販売では他に経済危機が起きているアルゼンチンやトリニダード・トバゴなど2、3カ国ほど他の中南米価格より抜きん出て高く取引されているエリアがありますがどこも経済が厳しく、米ドルなどのハードカーレンシーの流通が困難な国という印象です。グスタボさんは仮想通貨と法定通貨の両替商的な役割を担っているのでしょうか。

グスタボ:両替商ではありませんね。実際にそれらを「業」として行なうことはベネズエラ政府がまだ法的にグレーゾーンとしていますので。今は単純に個人的に買いたい人がいればあくまで個人でのやりとりとして、交換しているということです。

風間:なるほど、ベネズエラの仮想通貨市場で、現在もっともメジャーなのはやはりビットコインでしょうか。

グスタボ:Dash(ダッシュ)という通貨も人気です。Evan Duffield氏が開発した匿名決済機能を有する仮想通貨なのですが、現在のベネズエラの仮想通貨業界で2大戦争ともいえるのは、ビットコインVSダッシュです。

ダッシュも特定のインフルエンサーが中心になり、インターネットだけでなくテレビなどの媒体でも盛んに宣伝していて、現在ベネズエラの首都カラカスにダッシュを利用して購買できる小売店などが少しずつ出始めて、人気が出てきていますね。

ダッシュのミートアップが開催されていたり、カラカスではダッシュの開発者を呼んだカンファレンスなども行なわれていて影響力はありますね。ただ、印象としては、ベネズエラの仮想通貨市場ではビットコインのほうがまだ優勢な気はしますね。この勢力争いがどうなるかは、まだまだわかりません。

ベネズエラ政府主導の仮想通貨ICOへの期待は?

風間:ベネズエラ政府は今年2月に、政府としてのICO(Initial Coin Offering)でペトロ通貨を発行することを発表しましたが、米国がこのペトロ通貨での決済使用をすべて認めないとするなど、暗礁にのりあげている感があります。ベネズエラ国内のベネズエラ人としての期待などはどうでしょうか。

グスタボ:元々が国外の人向けの投資ですし、ベネズエラ国内では今のところ期待はほとんどもてないというのが正直なところですね。

ベネズエラ人は政府を信用していません。ただ政府が公共のテレビ、もしくは新聞などのメディア媒体などを利用してペトロを売り込み始めています。彼らには権力がありますので、ビットコインVSダッシュの中に割って入って人気を伸ばすことも考えられなくはないです。

風間:以前、ベネズエラのテレビ番組で、「ビットコインなどの仮想通貨は実需も本質的な価値も伴わないイリュージョンであり、それに対して、ベネズエラのペトロ通貨は石油に裏付けされ、政府のお墨付きもある」というベネズエラの経済学者に対して、ビットコイナーの代表みたいな人が「ボリバル通貨も、紙幣を持っていても金と交換できるわけではないし、本質的な価値はない」みたいなコメントで切り返すという、バトルを見たことがあるのですが……。

グスタボ:私としては、政府に管理されない非中央集権の通貨を、世界の多くの人が自由に使うようになることが重要だと思います。中央集権的な通貨はトラストレスではありません。政府が通貨を完全にコントロールできる保証はないことを、現在のベネズエラのみならず、その他の国でも、世界の歴史は証明しているのではないでしょうか。

(文・撮影/風間真治)

著者紹介:風間真治(かざま・しんじ)
商社の海外営業、中南米のドミニカ共和国駐在を経て独立。現在はカリブ海に浮かぶドミニカ共和国に住みながら、主に中南米諸国でこれから経済が成長していくような国々を頻繁に回り、未知なる客先を訪ね歩いては様々な新規事業の開拓に取り組む日々。中南米ではいくつかの国に会社を作り、貿易事業、港湾の通関業、不動産事業、インターネット事業、中古車販売業などを手がける。
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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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