――野田首相は2011年12月16日、福島第一原発が冷温停止状態になったということで事故収束を宣言した。桜井市長はこれについて不快感を表明している。どういう気持ちか。

 事故については、私から見ればまったく収束ではない。現場の感覚とまったく違う。どうして、南相馬市の2万6000人が帰宅できていないのに、「収束」なんですか?原子炉が冷温停止したら、「収束」なんですか? 放射能汚染がこれだけ広がっていて、住民が生活するのに不安を感じているのに、「収束」なんて言えるんですか?本当に現場の感覚とまったくずれている。双葉郡で起きていることを、政府はまったく理解していない。

 この1年の間で大臣や官房長官、多くの政治家が来ましたよ。その度に携帯の番号を聞いて、直接電話できる関係になった。それでようやく、私たちの声が届くようになった。でも、スピードは遅いですよ。でも1年で声だけは届くようになった。

市立病院の看護士約70人
行政職約50人が退職

――南相馬市では復興に向けて行政職員の大量退職がネックになっていると聞く。原因は何であると考えているか。また対策はどのように考えているのか。

 今まで働いてきた人たちには、疲れ、不安、家族離散などさまざまな事情がある。市立病院の看護士は約70人早期退職した。皆、若い看護士だ。ここで働くことに不安を覚えている人が多い。また役所などで働いてくれていた約50人も早期退職していった。南相馬市がどのような状況に置かれていて、復興を支える人員がどれだけ必要なのか、そういった現場の状況を国はもっと知ってほしいし、対策を打ってほしい。南相馬市が「職員が足りないから応援をお願いします」と他の自治体に要請しているんですよ。これは国が音頭をとってやっていくべきことでしょう。

 病院の職員は集まりませんよ。看護士の方は資格を持っていれば、全国の病院で働ける。わざわざ南相馬市で働いてくれる人は少ないです。行政職員は採用時期を前倒ししてなんとか人員を確保した。