朝原 だからこそ、今までの自分が家族や会社や地域にどれだけ支えてもらってきたのかを、初めて理解したように思います。皆さんに支えられている実感が、競技をする上での強いパワーになりました。だからこそ、北京まで頑張ることができてメダルが獲れた。

育児休業中に「人間力」が向上
女性のキャリアと似ている

小室 お話を聞いて、ちょっと女性のキャリアと似ていると感じました。女性の育児休業はキャリアブランクだと思われがちですが、休業中に人間的に成熟したり、感情のコントロールが上手になったりして、職場復帰後に以前より仕事を任せやすくなるケースがよくあります。

 女性のキャリアはジャングルジムに例えられます。男性みたいに階段を着実に登っていくわけではないものの、育休から復帰して、育児前とは違う仕事を覚えていって、若い頃の馬力型のやり方から抜け出し、限られた時間で周囲を上手く動かしながら成果を出すやり方を習得すると、急に2ステップもアップしていたりする。まっすぐ行けば最短でキャリアアップできるとは、限らないんですよね。

朝原 僕にとっても、この寄り道した時期が人生全体に対しても大きな影響を与えているんです。地元への感謝から続けてきた陸上の普及活動が、色々な人とつながるきっかけになって、現役引退後の2010年から設立した陸上競技クラブ「NOBY T&F CLUB」などの社会貢献活動にもつながっています。

4月26日(木)公開予定の後編に続く】後編では、アスリートのセカンドキャリア、日本の地域スポーツの将来像などについて、朝原さんの見解を聞いて行きます。