こういうのを、「ソーシャル・キュレーション」と呼ぶのだそうだ。今、話題のサイト、ピンタレストのことである。

 ピンタレストは、ユーザーが気に入ったモノの写真をピンナップし、他のユーザーがそれをさらに再ピンナップできるというサイトだ。昔、好きな雑誌の切り抜きをノートに貼付けていたような要領で、気に入ったヘアスタイルとか、インスピレーションの沸くインテリアとか、おいしそうなスイーツなど、あれこれの写真を貼付けたものをみなとシェアするという具合。気に入ったピンナップをフォローしたり、誰かのピンナップに参加したりもできる。もう、ソーシャルは出尽くしたかと思っていたところへ、ピンタレストは、さらに新手のソーシャルサイトとして登場したのである。

 ピンタレストは2008年に設立されて以来、着々とユーザーを伸ばしてきた。2月にはアメリヵ国内だけでも1800万人のビジターがやってきて、これは1月から50%ものアップだという。オバマ大統領も、もちろん大統領選対策だろうが、最近ピンタレストのユーザーとなってピンナップに励んでいる。

 よく考えてみると、ピンタレストにはいろいろ意外な点がある。

 まず、あっても良さそうなのに、今までこんなサイトがなかったということ。自分で気になった写真を貯めている人は多いと思うが、それをシェアするしくみはこれまでなかったのだ。

 また、シェアするのならば、フェイスブックでもできるだろうに、人々はわざわざピンタレストに出てきて、もっと広く世界の人々とシェアしたがっていることもおもしろい。フェイスブックは何でもシェアしなければならないけれど、ここでは好きなものだけシェアすればいい。そんな気軽さも手伝っているのかもしれない。

 シリコンバレーの業界人は、フェイスブックのソーシャルグラフに代わってこの「インタレストグラフ」がパワーを持つ可能性もあるとみなしている。つまり、必ずしも人間関係のつながりではなくて、興味を同じくする人々のつながりもパワフルになり得るということだ。