一方、中国は理財商品など「影の銀行」の金融商品を通じた野放図な資金の貸し借りが経済の安定を損なうとの懸念を強め、金融セクターの負債圧縮に取り組んでおり、与信環境は引き締まりが進んでいる。また、最近の人民元高も輸出業者の競争力をそいでいる。

 人民銀は今回の預金準備率引き下げで銀行は高コストの借り入れの返済や中小企業向け融資に充当する現金を手にできると説明。市中銀行が確保する資金のうち9000億元は貸出ファシリティー(MLF)の返済に、4000億元は中小企業向け融資に使われるとしている。

 ソシエテ・ジェネラルの中国エコノミスト、ウェイ・ヤオ氏は顧客向けノートで「人民銀が準備率の早期引き下げに踏み切ったことから、同行が金融市場での負債圧縮の影響やその対応策を強く意識していることが分かる」と述べた。

 OCBC銀行の中国エコノミストのトミー・シー氏もノートで「今回の準備率引き下げで、中国がこれ以上の金融引き締めに動かないとのコンセンサスが強まった。準備率引き下げは与信の拡大を安定させ、金融の引き締まりを緩和する予防的な役割を担うとみられ、一段の引き下げがあり得る」と分析した。

 エコノミストの間からは、準備率引き下げは債務スワップのようなものだとの声も上がっている。人民銀は近年、流動性の供給をMLFや常設貸出ファシリティー(SLF)などに頼っているが、こうした政策手段の継続が難しくなっているという。

 中国国際金融股分有限公司(CICC)によると、MLFの残高は4兆9000億元に上っており、毎月の償還額は4200億元ほどに達している。

 ダイワ・キャピタル・マーケッツ(香港)のシニアエコノミストのケビン・ライ氏はノートで「人民銀が貸出ファシリティーや準備率の面で手を打たなければ、金融市場は自動的にどんどん引き締まる。緩和は絶対に必要だ」と指摘した。その上で、GDPの急激な落ち込みや全面的な貿易戦争突入がない限り、人民銀が利下げに踏み切ることはないとの見方は変えてないとした。

 CICCの推計によると今回の準備率引き下げで短期金融市場の金利は20ベーシスポイント(bp)以上、債券利回りは10bp以上それぞれ低下する見込み。また宏源証券の推計によると、上場銀行は今年の純金利マージンが1.2bp拡大し、純利益が0.9%増える見通しだ。

 (Kevin Yao記者、Shu Zhang記者)

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