南北会談は「政治ショー」で非核化に進展なし、元駐韓大使が論評板門店宣言に署名した後、抱き合う金正恩委員長と文在寅大統領 Photo:代表撮影AP/AFLO

「主演・金正恩、共演・文在寅」の
政治ショーだった南北首脳会談

 世界が注目する中、4月28日に行われた「南北首脳会談」は、「主演・金正恩、共演・文在寅」の“一大政治ショー”だったといえる。

 確かに、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長について、新しい側面を見みることができたのは事実であり、その意味では新鮮だった。

 まず、軍事境界線での出会いの折、韓国の文在寅大統領を北朝鮮側に招いたことは、演出効果として満点。首脳会談冒頭の発言は、北朝鮮のテレビ放送を通じて見る単調な演説スタイルではなく、時折、冗談を混ぜながら語り掛けており、人間味を感じさせた。そして、朝鮮半島の非核化を目標とする「板門店宣言」を文大統領とともに発表したことも好感を与えた。

 これにより金委員長は、叔父の張成澤(チャン・ソンテク)や、異母兄の金正男(キム・ジョンナム)を殺害し、多くの国民を苦しめる“残忍な独裁者”のイメージを改善させることに成功したといえる。

 また、多くの韓国人に「南北の平和共存に希望を持たせた」という意味では、率直に評価すべきかもしれない。