昨年時点で、国の管理下で財政再建に取り組む「財政再建団体」は北海道夕張市だけ。それに次ぐ「早期健全化団体」が全国に6市町村あり、泉佐野市はそのなかの一つである。つまりは、財政破綻目前というわけである。

 そもそも泉佐野市は関西新空港の対岸にあり、1994年の関空開港に向けた道路などの大型インフラ整備、さらには下水道整備(下水道普及率が府下でワースト2位)や病院充実などの大型投資がたたり、財政が困窮しているのだ。

 だが、市の命名権を売り出すにはいくつもの障壁がある。

 まず、命名権の売却、すなわち市名変更には地方自治法に基づいて大阪府知事の同意を得た上で、市議会で関連法案を通過させ、さらに総務大臣の認可を得る必要がある。すでに総務相は今回の命名権売却に疑義を表明している上に、地元市議会ひいては地元住民の納得を得られるとは思えない。

 先の市議会全員協議会でも、市議からは「泉佐野の恥」、「市民から苦情が殺到しており、(議案には)絶対賛成しない」という反対意見が続出している。

 泉佐野市と同じ、空港近隣立地だった愛知県の美浜町と南知多市は、中部国際空港の愛称「セントレア」にあやかって「南セントレア市」という新市名を掲げた合併構想を打ち出したが、地元住民の反発で合併自体が無くなっている。愛着のある自治体名の変更は極めて難しいということだ。

 さらに失礼を承知でいえば、「泉佐野市」のブランドとしての価値も疑わしい。

 過去半年間の全国紙の記事で、「泉佐野市」の文字が見出しに踊った記事は、関西新空港に関連する財政問題と低価格エアライン就航の記事を除けば、目に付くのは、ひったくりや地下水汚染、ひき逃げ、(市職員の)給与削減延長といったネガティブなものばかり。仮に「泉佐野市」をそのまま企業名に置き換えたら、マイナスイメージの記事が全国紙に氾濫することもありうるのだ。