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インタビューに答えていただいた米Shure Inc.のマット・エングストローム氏(右端)、ショーン・サリバン氏(中央)とトーマス・バンクス氏(左端)

 春のヘッドフォン祭 2018の会場で、シュアはアナログ接続に特化した静電型イヤフォンシステム「KSE1200」を発表した。同時にイヤフォンの「SEシリーズ」用のオプションとして、USB Type-C端子とMMCX端子を持ち、スマートフォンとデジタル接続できるリケーブル製品「RMCE-USB」を発表した。対極のキャラクターを持つ新製品のお披露目だ。

イベントの開催に合わせて来日したシュアの担当者を訪問して、各製品の開発意図やシュアのこれからの製品戦略も聞くことができた。

インタビューに答えてくれたのは米Shure Inc.のプロダクトマネジメント・シニアカテゴリーディレクターであるマット・エングストローム氏、プロダクトマネジメント・シニアマネージャーのショーン・サリバン氏、そしてプロダクトマネジメント・シニアスペシャリストであるトーマス・バンクス氏の3名だ。

シュアのフラグシップサウンドが一段と身近になった「KSE1200」イヤフォンシステム

 シュアは2015年に世界で初めて、ポータブルタイプの静電型イヤフォンシステムを発表した。静電型イヤフォンと専用のアンプをセットにした「KSE1500イヤホンシステム」だ。あれから約2年半の時を経て、今度はアナログ接続に特化した「KSE1200イヤホンシステム」を発売する。

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シュアのフラグシップイヤフォンシステムにアナログ専用モデルの「KSE1200」が登場
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USB-DACを内蔵するKSE1500イヤフォンシステム

 話が少し複雑なのだが、どちらの製品もイヤフォン部は同等だ。シュアではイヤフォン部単体の名称を「KSE1500」と呼んでいる。実際にはタイプの違う専用高電圧アンプを組み合わせることになり、DAC内蔵の従来版は「KSE1500イヤホンシステム」、アナログ接続のみの新機種は「KSE12000イヤホンシステム」という正式名称になる。本稿では先に発売されているデジタル入力に対応するUSB-DAC内蔵の上位モデルをKSE1500、新製品をKSE1200と呼び分けることにする。

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ケーブルも独自に開発。高電圧出力のイヤフォンを安全に楽しむことができる
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手のひらサイズのアンプ。KSE1500のアンプからUSB-DACやディスプレイを省いている

 KSE1200はハイレゾ対応の静電型MicroDriver 1基を搭載するカナル型イヤフォン部と、新規に開発されたアナログ専用の高電圧アンプ部を組み合わせたイヤフォンシステムだ。プレーヤー機器との接続には3.5mmプラグのアナログ音声ケーブルを使う。底面のmicro USB端子は充電専用に設けられたものだ。内蔵バッテリーの連続駆動は最大約12時間。このほか、アンプに搭載する機能はアナログ入力に対して0dB/-10dBの2通りからゲインが選べる「入力パッド」のみという、とてもシンプルで割り切った仕様だ。

 筆者はKSE1200をヘッドホン祭の会場と、今回のインタビューでAstell&Kernの「AK70 Mk2」につないで聴く機会を得た。KSE1500からそのまま受け継いだ透明で立体的なサウンドに思わず引き込まれてしまった。鮮明なディティールと圧倒的なリアリティはKSEシリーズのオーナーだけが味わえる特権だと思う。DAPとの接続はケーブルを挿すだけなので何も迷うことはなく楽しめる。

 どちらの製品も価格はオープンだが、市場の想定売価はKSE1500が約36万円前後であるのに対して、KSE1200は19万8000円前後で販売されることになりそうだ。依然高値とはいえ、これならばシュア最強のフラグシップを“一生もののイヤフォン”として、真剣に購入を検討してみたくなるという方も増えるのではないだろうか。

アナログ接続専用に割り切った理由とは

 では早速、新製品KSE1200が企画・開発された背景からエングストローム氏に聞いてみよう。

エングストローム氏:シュアのフラグシップモデルであるイヤフォン「KSE1500」を発売後、そのサウンドに圧倒されたという反響を数多くいただきました。KSE1500はデジタル入力を使ってアンプに内蔵されているハイレゾ対応のUSB-DACを使うこともできる静電型イヤフォンシステムですが、最大96kHz/24bitのリニアPCM入力までにしか対応していないため、それ以上のスペックを持つDACや、自分の好みの音のDACを搭載するハイレゾプレーヤー、ヘッドホンアンプをアナログ入力を使って聴いているというユーザーの声も届いていました。

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プロダクトマネジメント・シニアカテゴリーディレクター マット・エングストローム氏

KSE1200ではシンプルにアナログ入力を1系統だけ搭載して、様々なデバイスをシュアのフラグシップモデルである静電型イヤフォンで楽しんでもらえる環境を提供したいという思いから開発した製品です。

サリバン氏:外部オーディオ機器とシンプルに接続できること以外にも、KSE1200ならではといえる魅力が3つあります。ひとつは小さくて軽いこと。ポータビリティが大きく向上しています。もうひとつはバッテリーの連続駆動が約12時間になって、KSE1500をアナログ接続で使った場合に比べても約2時間ほど伸びています。KSE1500に搭載されていた有機ELディスプレイと、これに関わるデジタル回路を省略できたことが大きな要因です。

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天面に3.5mmアナログオーディオ入力を搭載。ボリュームもアナログ方式になる

そして3つめは、価格がさらにお求めやすくなったことです。シュアが目指してきたフラグシップの音を、より多くの方に楽しんでもらえるようにプライスダウンを実現することは、私たちにとっても大きなチャレンジでした。

ーーKSE1200のデザインは上位モデルの質感をそのまま継承しています。今回もプロダクトデザインはシュア社内の専任チームが手がけたものでしょうか。

サリバン氏:いま様々なブランドから良質なオーディオ製品が発売されています。ポータブルオーディオもファンの皆様から、機能・性能だけでなく、デザインも含めた総合力を厳しくご評価いただく時代です。シュアの場合、プロダクトデザインは小手先で見た目に華美なものに仕上げることにではなく、ユーザーが心地よく感じられる操作性も含めた全体の完成度を練り上げることに時間をかけています。

エングストローム氏:私たちはよく言われる「スタイリッシュさ」だけを追求していません。むしろその製品が発売されてから10年後も色あせない「タイムレス」な魅力を持つデザインであることを重視しています。そのためには耐久性を持たせることも非常に大切です。シュアでは独自に厳しい基準を設けた耐久性試験を全てのプロダクトを対象に実施してます。本体の落下試験、低温環境に晒しながらの動作検証、ケーブルの曲げ伸ばしテストなどを入念に行います。「腹を立てたお父さん」になりきって製品をわざと乱暴に床や壁にたたきつけてみたり、私たちが「アングリー・ファーザー・テスト」と呼ぶ非公式の耐久テストも時々やっています(笑)。私たちがつくった製品がユーザーの手もとに渡った後も、常時ベストパフォーマンスを発揮するためには耐久性のチェックは欠かせないと考えているからです。

内部構造はシンプルなようで実はとても複雑

 KSE1200は本体がコンパクトになって、入力ソースがアナログ音声に絞られたぶん構造がシンプルになっているのかと思えば、本当はその真逆なのだという。サリバン氏の説明を聞いてみよう。

サリバン氏:外観がコンパクトで、アナログ入力端子を1系統しか持たせていないのでシンプルに見えるかもしれませんが、実際にはKSE1500と同じ10層構造の基板を、より小さなフットプリントに納めるために内部は非常に複雑な構造になっています。基板のレイアウトは再びイチから起こしています。

例えばオーディオ信号の入力回路と、音声信号に高い電圧をかけてイヤフォンへ出力するための回路は別々に設けていますが、それぞれが隣り合っているため、基板のサイズが小さくなるほど、出力側の回路が他の部分へ与えるノイズの影響を回避することが極めて難しくなります。ここが基板を10層ものレイヤー構造にしなければならなかった最大の理由です。KSE1500に比べるとディスプレイを取り払ったぶん、内部のノイズ制御が幾分かは楽になりました。

ーーKSE1500では3種類あったゲイン設定(=入力パッド)が、KSE1200では2つに絞られていますね。

サリバン氏:KSE1500に搭載されている「-20」を利用しているユーザーがほとんどいなかったからです。そもそも-20dBはプロフェッショナルが放送機器とKSE1500をつないで使うことを想定して設けたものなので、コンシューマー製品で使う機会はもともとないだろうと考えていました。不必要なものはなるべく省いた方が回路をシンプルにできるし、音質的なメリットも得られます。また価格を抑えるためにも必要な選択でした。

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底面のUSB端子は本体の充電専用

ーーふたつのKSEシリーズに音質の違いはありますか。

エングストローム氏:まったく一緒です。イヤフォン部も同じものになります。もし今回イヤフォンも新規に開発していたら、KSE1500の発表から約2年半のインターバルではとてもお披露目できていないと思いますよ(笑)。

KSE1200はフラグシップモデルの音をより手軽に、多くの方に楽しんでもらうために開発したイヤフォンシステムなので、音質もまったく同じものに仕上げています。ただ、ボリューム回路はKSE1500の方が段階的に切り替わるデジタル方式だったのに対して、KSE1200ではリニアに増減するアナログ方式に変更されています。そのためボリューム設定の際にわずかな手応えの差が感じられるかもしれません。でもこれは音のチューニングそのものに手を加えたわけではありません。

ーーKSE1200のアンプを単品販売する計画はありますか。

エングストローム氏:やはりそこが気になりますか?私たちもヘッドホン祭りでKSE1200を発表して、KSE1500のオーナーの皆様からアンプの単品販売を望む声を、正直に言って想定以上に多くいただいたことに驚いています。

サリバン氏:繰り返しになりますが、KSE1200はシュアの静電型イヤフォンシステムの音を多くの方々に楽しんでもらうことを目指した製品です。でももし、新しい製品が既存オーナーの皆様にも魅力的に感じられるものであるならば、アンプの単品販売も含めて今後の検討課題にしたいと思います。

ーーカラーバリエーションは考えていますか。

エングストローム氏:今のところ予定にはありません。もしKSEシリーズが飛ぶように売れたら、限定モデルも含めて考える必要がありそうですね。例えばピンクの水玉模様の「ショーン・リミテッド」とか(笑)。

“イヤフォンジャックのないスマホ”と相性抜群のリケーブル「RMCEシリーズ」

 シュアは昨年、iPhoneとのLightning接続に対応するデジタル対応のリケーブル「RMCE-LTG」を発売している。そして今年はUSB Type-C端子を搭載するスマホとのデジタル接続に相性の良いリケーブル「RMCE-USB」が登場する。

 2月にバルセロナで開催されたIT・モバイルの展示会「MWC2018」ではソニーモバイルもアナログ接続のイヤフォンジャックを取り去った新しいXperiaシリーズを発表。続く3月末にはファーウェイの「P20 Pro」からもイヤフォンジャックがなくなることがわかった。元々はアップルのiPhoneが先鞭をつけた「イヤフォンジャックのないスマホ」は、これからますます増えるのだろうか。

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USB Type-C端子を採用したデジタルリケーブル「RMCE-USB」
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3ボタンリモコンを搭載。接続したスマホの音楽再生やハンズフリー通話を操作できる

 シュアのRMCE-USBはケーブルのインラインに96kHz/24bit対応のUSB-DACアンプを内蔵している。またリモコンによるハンズフリー通話や音楽再生のコントロールも可能だ。イヤフォン側は汎用性の高いMMCX端子になる。筆者もXperia XZ1に接続して音を聴いてみたが、同じシュアのSEシリーズをアナログイヤフォン端子に接続して聴く音よりも一段と明瞭でパワフルな音を楽しめた。

 本機を使ってみて、ワイヤレスイヤフォンのように面倒なペアリングや充電が要らない有線リスニングならではの利便性も改めて身に染みた。シュアのSEシリーズを、これからのデジタル接続専用のスマホによる音楽リスニングにも活かせる、画期的なリケーブルをいち早く投入した背景から、エングストローム氏に訊ねてみよう。

エングストローム氏:現在発売されているスマートフォンは、多くのものがあまり音質には気を配らずに設計されているように感じています。特にヘッドホンアンプ部はノイズが多く、あきらかにパワー不足です。RMCE-LTG/USBは上質なDACとヘッドホンアンプの搭載にこだわりました。SEシリーズのハイエンドイヤフォン「SE846」の実力も十分に引き出すことができます。

iPhoneのLightning端子に直結できるデジタルイヤフォンには、アップルが推奨する設計ガイドラインにより、デジタル音声信号のデコードやマイク/リモコン信号を伝送するために必要な「LAM(Lightning Audio Module)」と呼ばれるICチップが搭載されています。シュアのRMCE-LTGはLAMの後段に独自のDAC/アンプを搭載して、さらに高音質化を図りました。

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Lightning仕様の「RMCE-LTG」
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イヤフォン側の端子はMMCX

バンクス氏:RMCE-USBにはシーラス・ロジック社の最大96kHz/24bitのオーディオ信号をデコードできるDACを内蔵しています。いま最も一般的なハイレゾの音楽ソースに対応できるようにしました。なおRMCE-LTGの方は最大48kHz/24bitまでのリニアPCM再生に対応しています。

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プロダクトマネジメント・シニアスペシャリスト トーマス・バンクス氏

ーー音のチューニングはRMCE-LTGとRMCE-USBで変わりませんか。

バンクス氏:まったく同じです。可能な限り透明でむやみな色づけを避けた音に仕上げています。忠実な原音再生を確かめてほしいと思います。再生中にはDAC/アンプの駆動に必要なバッテリーをスマホからもらうかたちになりますが、スマホの使用に影響が出ないよう、最小限のバッテリーで駆動できるように給電まわりのシステムを設計しています。

ーーRMCE-USBはUSB Type-Cを採用するAndroid端末での使用がメインになると思いますが、iOSの場合に比べると開発環境の違いはどんなところに表れましたか。

エングストローム氏:iOSの場合、確かにアクセサリーメーカーにとって出来ることに制限もありますが、そのぶんルールは明快です。かたやAndroidの場合は決まり事は少ないものの、優に2万種類を超える設計の異なるデバイスが市場にあふれているところに大きな違いがあります。iPhoneやiPadなどアップルのデバイスは過去モデルを加えても数えられるモデル数ですよね。ヘッドフォン出力のパワー、DACの仕様、Andorid OSのバージョンやUSBデジタルオーディオ出力への対応など、パフォーマンスも千差万別のAndroidデバイスに対応しながら、シュアの製品として一貫性と信頼性を備えるリケーブルをつくることは、私たちにとっても簡単ではないことでした。

バンクス氏:さらにMicro USB-B端子を持つ製品を加えると、そもそもUSBオーディオに対応していないスマホも出てきてしまうので、さすがに困難も極まります。そこで比較的新しいインターフェースであるUSB Type-Cが登場したタイミングに合わせて、USBオーディオに対応するスマホでSEシリーズのサウンドを心地よく楽しめるデジタルケーブルを開発しました。

USB Type-Cを搭載する端末の中には、USBオーディオで音声信号の入出力の両方に対応するものと、片方(出力)だけに対応するものがあります。シュアのRMCE-USBは、より幅広いタイプのUSB Type-Cを搭載するスマホで使えるようにUSBオーディオの入出力の両方に対応しています。マイクとリモコンも搭載しているので、音楽再生だけでなくハンズフリー通話もできます。

有線接続ならではの便利で心地よいリスニング感

 多くのスマホはヘッドホンアンプの出力がとても弱いので、地下鉄や賑やかな街の中では音が聞こえにくく感じることがないだろうか。DACとアンプを内蔵するシュアのRMCEシリーズをイヤフォンSEシリーズに組み合わせればいつでも・どこでも、立体的な音場に包まれるような心地よいリスニング感が味わえるし、スマホの力不足の課題が一気に解消される。

 同時に屋外へ出かける時に、USBからアナログイヤフォンジャックへの変換アダプターを忘れたり、なくしたりする不安や煩わしさにもサヨナラできる。USB Type-Cを搭載するスマホをメインに使っている方はぜひ一度はRMCE-USBを試してみるべきだと思う。

SEシリーズがパッケージを刷新
商品構成もよりユーザーフレンドリーに

 今年の春から、シュアの定番ロングセラーモデルのイヤフォン、SEシリーズの商品パッケージが刷新される。コンシューマーモデルはパッケージがカラフルな色合いに切り替わるほか、Android/iOS対応のリモコンとマイクを搭載する「RMCE-UNI」ケーブル、Bluetooth対応のワイヤレスケーブル「RMCE-BT1」を同梱する多彩なパッケージのバリエーションがモデルごとに揃うかたちになる。

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SEシリーズのパッケージもカラフルに一新される

 日本国内でもまだまだ人気の、アナログ接続のストレートケーブル同梱モデルについてももちろん販売は継続される。こちらはSE112の“ライトグレー”からSE535のブラックまで、パッケージを並べると美しいグラデーションになる。

エングストローム氏:昨年秋にアップルが発売したiPhone XやiPhone 8シリーズをはじめ、アナログイヤフォンジャックを持たないスマホが続々と発売されています。シュアも作年秋にBluetooth対応のワイヤレスリケーブル「RMCE-BT1」を発売していますが、おかげさまで大変よい評価をいただいています。RMCE-BT1の成功を受けて、私たちも最適なイヤフォンとケーブルの組み合わせを、SEシリーズを購入していただく皆様に選んでもらう方がベターなのではと考えました。特にハイエンドモデルのSE846、SE535はイヤフォンを使い慣れた方々に人気の高いモデルなので、多彩なケーブルをパッケージに同梱したものを用意しています。

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RMCE-UNIはリモコン信号をAndroid/iOSで切り替えられる

サリバン氏:パッケージのデザインについては目の覚めるような鮮やかなカラーをアピールしてみました。いま世の中にあるイヤフォンのパッケージは大半が黒や白を中心とするモノトーンのものばかりです。新しくデザインしたパッケージは、SE112からSE846まで並べると鮮やかな緑から青へのグラデーションカラーになっています。北米など一部地域では“プロフェッショナル用”として展開するアナログ接続のストレートケーブルのみを同梱する製品はグレーやブラックの落ち着いた色調のパッケージにしました。

左右独立や高音質コーデック対応ワイヤレスイヤフォンの計画は?

ーー2016年にアップルがイヤフォンジャックを省いたiPhone 7シリーズを発売して以来、Bluetoothオーディオの人気の波は勢いを増すばかりです。日本では当時、入門向けの安価なBluetoothオーディオが注目されていましたが、いまではブランドや製品の種類が増えて、ユーザーの意識も高まってきたことから、中級価格帯の製品も注目されています。世界各国のポータブルオーディオの動向をどのように捉えていますか。

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プロダクトマネジメント・シニアマネージャー ショーン・サリバン氏

エングストローム氏:Bluetoothのテクノロジーは信号の接続性・安定性が高くなったことで、今では誰もが安心して使えるようになりました。リスニング体験の面ではaptX HDやLDACの登場によって音質にも関心が寄せられていると思います。BluetoothオーディオのSoCが小型化・省電力化できたことで、私たちメーカーの側にとっても実装が容易になりました。アメリカではBluetoothイヤフォンやヘッドホンが特にスポーツシーンでも注目されています。そして世界各国でいま完全ワイヤレスイヤフォンが注目されていますよね。

サリバン氏:私たちはSEシリーズのイヤフォンにMMCXコネクタによる着脱式のリケーブルを採用してきました。そのことが、これからイヤフォンリスニングのトレンドが移ろい変わっても、柔軟に対応できるメリットにつながってくるだろうと確信しています。

ーー特にシュアのSEシリーズを選ばれるポータブルオーディオファンの中には、aptX HDやLDACといった高音質コーデックに強い関心を持つ方も多いと思います。シュアはいつごろ対応しますか。

エングストローム氏:aptXのコーデックは低遅延伝送の面でも有利ということは心得ています。音楽だけでなく動画をワイヤレスで視聴する際に低遅延であることが大事なのはよく知っています。私たちはいつもユーザーの声に耳を傾けながら、今後の商品計画に活かすことを考えています。コーデックに関する検証もその中のひとつです。

ーーノイズキャンセリング機能や完全ワイヤレスイヤフォンについてはいかがでしょうか。

エングストローム氏:シュアのファンの皆様を中心にあらゆる方面からリクエストをいただいています。これまでと変わらない姿勢で、ユーザーの声に耳を傾けながら全力を尽くしたいと思いますので、シュアのこれからにご期待ください。

 ひょっとすると、今回シュアが発表した新製品やパッケージのリニューアルの後にも、私たちをあっと驚かせるような発表が控えているのかもしれない……。そんな勝手な期待に胸を高鳴らせながら、まずはKSE1200やRMCEシリーズのサウンドにゆっくりと耳を傾けてみてはいかがだろうか。