お買い物特集

 PC、デジカメ、AV機器の各ジャンルで、今お買い得だと思われる製品を紹介していく本特集。今回はAV機器でお買い得感のある製品について紹介していく。

 今回お買い得だと思われるのはAVアンプ。本格的なサラウンドシステムの中核となるコンポだ。

 価格が高い、大きい、セットアップが面倒というイメージが先行しているからか、市場は縮小傾向にある。ゆえに、各メーカーが低価格で小さくて、セットアップも難しくないモデルを投入しており、性能に対してお買い得なジャンルとなっている。

 本記事でピックアップしたのはオンキヨーのAVアンプ「TX-L50」。実売価格は3万3000円ほどで、最安ベースだと約3万円で購入できる。

 80W×6chのDクラスアンプを内蔵しながら、高さ7cmという薄型サイズを実現。AVアンプというと、最近のテレビ用ラックでは収納できないくらいサイズの大きなものもあるが、このモデルならばBDレコやBDプレーヤー並み。

 しかも、最新のサラウンド(上方向の音も再現するオブジェクトサラウンド)であるDolby AtmosやDTS:Xにも対応している。

Wi-Fi内蔵やハイレゾ対応、自動音場補正機能まで
必要な機能をフル装備した「TX-L50」

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「TX-L50」の外観。高さ7cm、奥行き32cmとAVアンプにしては小型だ

 薄型ボディーを実現したのは、コンパクトで高効率なDクラスアンプを採用したため。アンプ部の電源には、オンキヨーカスタムコンデンサーを採用したほか、ノイズ対策や音質対策もしっかりと行っている。出力も各チャンネル80Wと実用上十分な出力となっている。

 薄型モデルながらも、Wi-Fi内蔵でネットワークオーディオ再生にも対応。DLNAによるNASなどに保存した音源の再生のほか、「radiko.jp」や「TuneIn」などのインターネットラジオも聞ける。

 USBやLAN経由でのハイレゾ音源再生もでき、リニアPCM(最大192kHz/24bit)、DSD(最大5.6MHz)のファイルが再生可能。

 このほか、AirPlayやChoromecast Buit-in、Bluetoothにも対応するので、PCやスマホ、スマートスピーカーなどとの連携もばっちりだ。

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本体背面。左下にHDMI端子、右側にスピーカー端子を搭載。高機能なHDMIセレクターとしても使えそう

 背面の入出力端子は、HDMI入力×4、HDMI出力×1。HDCP2.2に対応し、4K/60p信号のパススルーにも対応している。音声入力はアナログ入力が2系統、MMカートリッジに対応したフォノ入力も1系統備える。デジタル入力は光と同軸の各1系統となっている。このほかに、LAN端子なども備える。

 サラウンド音声信号は、Dolby AtmosやDTS:Xを含む現行のサラウンド方式のすべてに対応する。このように、基本的な機能としては、一般的なAVアンプとほぼ同等となっているのだ。

画面表示でセットアップも難しくない

 設定などがわかりやすくできるように配慮されており、エントリークラスながら画面のメニューで操作が可能。スピーカーの設定や調整はもちろん、さまざまな機能の切り替えなどでも画面の表示で確認ができる。

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セットアップの画面では、入力/出力設定などが項目ごとに用意されている
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設定画面の「TV出力/OSD」の項目。4Kアップスケーリング機能やスーパーレゾリューション(超解像)といった高画質技術も盛り込まれている
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音質設定では、テレビ放送やドルビー系、DTS系といった項目で、それぞれの機能を設定できる
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HDMIの設定では、HDMI-CECリンク機能のオン/オフなどの調整が可能。ネットワーク設定やBlutooth設定などもここで行なう

テレビの周りにスピーカーを置くだけ
Dolby Atmosを楽しめる!

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セットアップにあるスピーカーの項目。配置・構成や距離や音量レベルなどのスピーカー設定が手動でできる
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配置・構成の項目では、スピーカーチャンネルを3.1.2chや5.1chなどを選ぶことができる
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スピーカーチャンネルを5.1chとした場合。右のイラストのスピーカー配置も変化している

 TX-L50は、一般的なAVアンプが備える機能は一通り持っているが、真の魅力はそれだけではない。

 スピーカーの設置などなかなかハードルの高いサラウンド再生をより手軽に楽しむ機能が充実していることがポイントだ。

 Dolby AtmosやDTS:Xについては、3.1.2chという構成でできる。3.1.2chとは、フロントL/R、センターの3つと、サブウーファーが1つ、トップスピーカーL/Rの2つという意味だ。

 つまりサラウンドスピーカーを使わず、テレビの周りにスピーカーを置くだけでドルビーアトモスやDTS:Xが楽しめるというわけだ。リビングルームでホームシアターを構築する場合、後ろに置くサラウンドスピーカーが生活の邪魔になるという話はよく聴くが、そんなサラウンドスピーカーが不要なのだ。

 もちろん、5.1chの通常のサラウンド再生のセッティングもできるので、サラウンドスピーカーがあった方がいいという人でも心配は無用(この場合、Dolby AtmosやDTS:Xには非対応となる)。

 天井や壁の高い位置に設置することが必要なトップスピーカーについては、イネーブルドスピーカーを使用すればいい。

4KBD
オンキヨーのイネーブルドスピーカー「D-309H」。実売価格は4万7000円ほど

 これは、天井に向けて音を出し、天井の反射を利用するスピーカー。オンキヨーなどでもドルビーイネーブルドスピーカーが発売されているので、こうしたスピーカーを使うといい。

 ドルビーイネーブルドスピーカーは、フロントスピーカーの上に重ねて置くようにして使うので、スピーカーの置き場所に困るということもない。天井の反射を利用するので、天井が吹き抜けで高すぎる場合は使いにくいが、一般的な高さの天井や壁の作りならば十分に効果が得られる。

音場調整も自動でできる

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クロスオーバーの設定。スピーカーが小型の場合、クロスオーバーを設定して、サブウーファーで低音を補助することも可能
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距離の設定。手動では実際にスピーカーの距離を測って数値を入力するが、時度音場補正機能を使えば、自動で測定してくれる
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スピーカーの音量レベル。各チャンネルのスピーカーからの音量が同じになるように調整していく。これも自動音場補正機能で自動測定が可能

 あとは、一般的なAVアンプのスピーカー設定と同じように、クロスオーバー設定や距離、音量レベルなどを調整すれば準備は完了だ。

 これらのセットアップは音場補正機能の「AccuEQ」により自動調整が可能。スピーカーの設置と接続が完了したら、付属のマイクを接続してAccuEQを実行すればいい。

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付属のマイク。スピーカー設置後、これで音場測定ができる

 これならば、AVアンプをはじめて使う人でも簡単に設定できるし、各スピーカーの位置を左右対称にするなど、理想的な設置ができない場合でも、部屋の音響特性に合わせて最適な調整をすることができる。

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イネーブルドスピーカーの設定。まずはスピーカーから天井までの高さを実測して入力する。これは自動音場補正機能では測定されないので注意

 イネーブルドスピーカーを使う場合に有効な機能を備えているのもTX-L50の大きな特徴だ。イネーブルドスピーカーは天井の反射を利用するため、スピーカー自身から出る音と、天井を反射して聴こえる音のずれが生じやすい。

 これを補正するのが「AccuReflex」。反射による音の遅れなどを調整し、あたかも天井にスピーカーを設置したかのような音を再現できる機能だ。

 イネーブルドスピーカーから天井までの高さを実測して入力する必要はあるが、決して大きな手間ではないし、しかもその効果はなかなかのもの。

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各スピーカーの音色の違いや、部屋の環境による音質を調整するための「イコライザ設定」もある。各チャンネルごとに音質の微調整が可能だ

「ガルパン最終章」を再生 キャラの声の違いも明確に

 では、早速その音の実力を試してみよう。使用したソフトは「ガールズ&パンツァー最終章 第1話」のBD版。音声はドルビーTrueHDの5.1chだ。

 まずは基本通りの5.1ch構成で聴いてみる。このタイトルはサラウンドチャンネルを積極的に使った音響が特徴的で、迫力たっぷりの戦車戦で砲撃の音が前後左右に飛び交うだけでなく、日常的な会話のシーンでも、画面に現われている人物はセンターから、画面の外にいるキャラクターは左右のスピーカーやサラウンドスピーカーから声が聴こえるなど、なかなかユニークな音響設計がされている。サラウンドの面白さを味わう上でも最適なソースなのだ。

 5.1ch再生では、キャラクターの声の配置もしっかりと再現でき、前後左右の音の定位もしっかりとしている。すっくりとした解像感の高い音で、細かな音までしっかりと聴こえるし、キャラクターによる声の違いなども明瞭だ。

 そして、肝心の戦車戦の砲撃の音なども、出音の素早い立ち上がりもなかなかのものだし、迫力のある音が得られる。

 強いていえば、大音量派の筆者の防音ルームで使うには、音量的な音のエネルギー感がものたりないが、一般的な家庭では近所迷惑になるレベルでの話。一般的な家庭での音量では、音の力強さや迫力も十分に味わえる。薄型のコンパクトなAVアンプとはいえ、その実力はなかなかのものだ。

Dolby Atmosで臨場感豊かな戦車戦も
迫力たっぷりに再現!!

 では、今後は3.1.2chのDolby Atmosの再生をしてみよう。映画のDolby Atmos音声のソフトを聴いてみたが、前方の音場の厚みが増し、高さを感じる立体的な音の再現もしっかりとできている。後方のサラウンドスピーカーがないのにこれは見事だ。

 この秘密は、ドルビー独自のバーチャル再生技術である「サラウンド・エンハンサー」を使っているため。実際に繋がっているスピーカーは3.1.2chなのだが、後方の2chをバーチャル技術で再現しているのだ。

 言わば、仮想5.1.2chとなるわけだ。このため、後方の音も案外しっかりと後ろから聴こえるし、音の包囲感や後方の音の移動感もなかなかうまく再現できる。

 もうひとつの理由がトップスピーカーがあることだろう。イネーブルドスピーカーで天井から再現される音が、前後の空間をうまくつなぎ合わせて一体感のある空間を創り出しているわけだ。高さ方向の音が再現できるだけでなく、ドーム状に展開する音空間がうまく再現できている。

 ここで、再生ソフトを「ガールズ&パンツァー最終章 第1話」に戻して、「ドルビーサラウンド+サラウンド・エンハンサー」で再生した。

 ドルビーサラウンドとは、一般的な5.1chや7.1chのソフトをDolby Atmosのための3.1.2chで再生するためのアップミックス機能。これに「サラウンド・エンハンサー」を組み合わせている。

 TX-L50では、こうした再生もできるので、3.1.2chの構成のまま、5.1chや7.1ch音声のソフトをDolby AtmosやDTS:Xに近い立体音響でも楽しめるのだ。ちなみに、DTS音声の場合でもドルビーサラウンドは使えるので心配はない。DTSのアップミックス機能である「DTS Neural:X」を使用することも可能だ。

 これはなかなかのもので、空間の立体感が豊かになり、学園艦内部の狭い通路や戦車内の空間の狭さもリアルに再現できるようになるので臨場感がさらに高まる。

 サラウンドの再現はじっくりと比較すると、真後ろの音がやや希薄になる感じはあるが、思ったほどの差とは感じない。むしろ前方の音場が豊かになるので、5.1ch再生よりも3.1.2ch再生の方が迫力があると感じるほどだ。

 ガールズ&パンツァー最終章 第1話は、Dolby AtmosやDTS:X音声での上映も行なわれており、期日は未定だがソフトの発売も予定されているという。TX-L50はきちんと5.1chもできるし、3.1.2chの対応も可能というわけだ。

 3.1.2ch再生はサラウンド・エンハンサーのおかげで、思った以上に後方の音もしっかりと再現できていて満足度は十分。しかも後方にスピーカーを置かず、イネーブルドスピーカーを使用すれば天井へのスピーカー設置も不要で、テレビの周りにスピーカーとサブウーファーを置くだけで実現できてしまう。このフレンドリーさは最大の魅力と言えるだろう。

オーディオ環境を強化したいと考えているならおススメ

 TX-L50は、実売3万円台と極めてお買い得で、使いやすい薄型ボディー、Dolby AtmosやDTS:Xの効果も十分と、非常に魅力の多いモデルとなっている。

 本格的なサラウンドに挑戦したいが、ハードルの高さでためらっていた人にとっては、最適と言えるモデルだ。

 別途スピーカ-とサブウーファーが必要となるが、臨場感豊かな最新ホームシアターの楽しみを味わってもらいたい。