正直に言っておくが、自分自身の問題として、経済評論家としての仕事は、もっと早くから始めておくことができたなら、もっと大きくて質も高い仕事ができたのではなかったかという気持ちはある。だが、過ぎてしまったことは仕方がない。改善できるのは今後だけだ。

「副業」から「複業」を目指せ

 山一證券が潰れ、銀行系の運用会社に就職し、その後にヘッドハンターが紹介してくれた生命保険会社の運用部門に勤めたが、42歳を前にして、筆者が真剣に考えたのは、今後どこに転職するかだった。「セカンドキャリア」について真面目に考えたのは、この時だった。

「普通なら、外資系の運用会社を探すか」とも思ったのだが、60歳以降のセカンドキャリアをどう過ごすことができるのかというイメージが浮かばなかった。

 その結果、選んだ路線は、(1)本業の稼ぎは働きの成果なりに落とす、(2)副業を自由にしてもらって自分として足りない分はこちらで補う、(3)副業での発言などの情報発信に関しては自由にしてもらう、という条件を受け入れてくれる銀行系大手シンクタンクへの就職と副業のオープン化だった。

 端的に言って、サラリーマンとしての職と最低限の収入のリスクヘッジを確保した上での副業開発だが、最初から順調だったわけではない。知り合いが経営する会社にも勤めてみたり、別の知り合いが始めたベンチャー企業に関わってみたりしたが、これらはあまりいまくいかなかった。

 他方で、原稿や本を書いたり、講演やテレビ番組に出演したりといった、大きな括りでは「経済評論家」の仕事が増えて、これが主な副業となり、やがてはシンクタンクのサラリーマンとどちらが本業なのかが定かでない、「複業」とでも言うべき働き方に至った。

 またこの間、約10年間ほど評論家の仕事に加えて、友人と組んである大手電機メーカー向けに金融関係のソフトウェアのコンサルティングを行って、年間数百万円の収入を得ていた。

 その後、一部をサラリーマンとして勤めさせてもらう会社をシンクタンクからネット証券に変え、評論家の仕事に加えて多少のコンサルティング的な仕事を営む小さな会社を友人と作って今日に至っている。

 副業あるいはセカンドキャリアの仕事として、「評論家」あるいは「コンサルタント」は多数ではないとしても、そう珍しいものではあるまい。