世界の貿易指数低下、貿易摩擦の懸念反映か

 1─3月期のドル/円は、110円超の円安水準から104円台まで円高が進む場面もあったが、足元では111円台に戻している。

 日銀の調べでは、この2年間をみると、日本の実質輸出が為替に影響される度合は極めて低くなっているが、自動車産業などでは輸出における円安の影響は明確にプラス。

 このまま推移すれば、世界経済の拡大と為替差益で自動車業界の収益見通しは上振れする可能性がある。

 ただ、貿易摩擦が日本に影響する懸念は、引き続き存在する。トランプ政権が日本に課した鉄・アルミ製品への高関税の影響は、4月の段階では統計には表れていない。鉄鋼の対米輸出は数量ベースで13%伸びている。

 しかし、世界貿易機関(WTO)が今月17日に発表した貿易見通しを示す指標「WTO指数(WTOI)」は101.8となり、2月の102.3から低下。「指数の低下は、特に輸出受注の落ち込みを示しているが、空輸貨物も落ち込んでいる。貿易摩擦の激化による先行き不透明感の高まりに関連している可能性がある」とWTOは指摘している。

 農林中金総合研究所の南武志・主席研究員は、貿易摩擦を巡る前週までの米中経済協議について「報復関税の応酬を互いに控え、中国の対米貿易黒字の縮小に向けて努力することで合意され、貿易戦争に拡大する懸念は後退した」と評価する。

 ただ、今後は日本・欧州連合(EU)などとも交渉していくとみられ、「自動車などの取り扱いが注目される」と語っている。

 今年度も世界経済の好調を背景に外需がけん引すると期待されている日本経済だが、貿易摩擦が大きな重しとなってくるリスクは、まだ完全には払しょくされていない。

(中川泉 編集:田巻一彦)

Copyright©2018 Thomson Reuters 無断転載を禁じます