これに対し、バイエルなどの企業は、独自の除草剤噴射システム開発に向けてパートナー企業を模索している。また、中国国有化学大手の中国化工集団(ケムチャイナ)傘下のシンジェンタは、新装置から作物を保護する製品開発を検討している。

 まだ初期段階にあるものの、こうした1株ごとに作物を世話する技術は、これまでの作物生産における一般的方法とは一線を画すものだ。

 現在は、農薬・種子世界最大手の米モンサントの「ラウンドアップ」のような植物の種類を選ばず効果を発揮する「非差別性」除草剤を、耐性があるGM種をまいた広い畑に散布するのが、もっとも収益性の高い農業経営モデルの1つとなっている。

識別して噴射

 だが、前出のAI除草機を開発したスイスのエコロボティクスは、これを使えば、農薬使用量を20分の1にまで減らせると考えている。同社は、投資家との出資交渉が最終段階にあり、2019年初頭には同製品を市場投入する計画だと述べている。

 昨年米トラクター製造のディア・アンド・カンパニーに約3億ドル(330億円)で買収された米シリコンバレーのスタートアップ企業ブルー・リバーも、搭載カメラで雑草を識別し、必要箇所にだけ除草剤を噴射するマシンを開発した。

 同社の「識別して噴射」する除草機は、すでに米国の綿花畑でテスト段階にある。トラクターがけん引して使うもので、同社は、作物が成長段階にある間の除草剤の使用を9割カットできると見込んでいる。

 独エンジニア会社ロベルト・ボッシュや、デンマークのアグロインテリなども、類似の精密噴射機器の開発に取り組んでいる。

 ロボットやオートメーション関連の投資インデックスを運営するロボ・グローバルのリチャード・ライトバウンド氏は、1株ごとの散布は今後重要性を増す一方だと語る。

「技術の多くはすでに導入されている。あとはどうやって農家向けに適正な価格で売り出すかだ」と同氏は語る。「除草剤を10分の1にまで減らせるのなら、生産性の面でも農家にとって非常に魅力的だ。また、環境にやさしいこともあり、どこかの時点で、義務化されないまでも、非常に高い人気を得るだろう」