人間の「勘」まで代替する人工知能

 例えば、すでに米国では、ある地域での過去の犯罪データの分析と学習によって、人工知能が、その日のその時刻に犯罪が起きそうな場所を予測し、その予測に基づき、警官がパトロールをすることによって、犯罪防止率を上げている。

 また、日本でも、ある地域の過去の道路交通情報と顧客動向を分析・学習することによって、人工知能が、その日、その時刻に、タクシーが、どの道を流すと、乗客を得る確率が高いかを運転手にアドバイスし、成果を挙げている。

 この二つの例は、過去において、永年の経験に基づいてベテランの警察官やタクシー運転手が発揮していた「勘」と呼ばれる「直観判断力」を、人工知能が、ビッグ・データとディープ・ラーニング技術によって発揮できるようになったことを示している。

 このように、人工知能がチェスや将棋、囲碁の世界で人間の能力を凌駕したことは、これから始まる人工知能革命の、まだ序幕にすぎない。これから、永年の経験を積み重ねることによって人間が身につけてきた「直観」や「勘」という能力さえも人工知能が代替していく時代が、本格的に幕を開ける。

 そのため、これからは、企業における人事評価や商品開発、官庁における政策立案や予算配分なども含め、人間だけにできる高度な仕事と思われてきた様々な仕事も、人工知能が人間に代わって行うようになっていく。

 そのとき、我々人間は、どのような能力を身につけ、磨いていかなければならないのか

 そのことが、いま、すべての働く人々に問われている。