本田圭佑のビッグマウスの裏にある本当の姿とは写真:JFA/アフロ

6月14日に開幕するワールドカップ・ロシア大会に臨む、西野朗新監督(63)に率いられる日本代表が30日のガーナ代表との壮行試合(日産スタジアム)でいよいよベールを脱ぐ。一夜明けた31日にはロシア大会に臨む正式メンバー23人が発表される中で、いろいろな意味で注目を集めているのが本田圭佑(パチューカ)である。ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督(65)の電撃解任が発表された、4月9日以降の約1ヵ月半で未曾有の逆風にさらされている31歳のベテランは、幾度となく放ってきた「ビッグマウス」を介して退路を断ち、プレッシャーに身をさらすことで、自身をして「成り上がり」と言わしめる波瀾万丈に富んだサッカー人生を突っ走ってきた。(ノンフィクションライター 藤江直人)

ハリル氏解任に暗躍した“ヒール”のレッテルも
サッカー人生で最大級の逆風の真っただ中

 一挙手一投足が批判の対象になる。何か言葉を発した時には、すでに炎上状態と化していたインターネットのコメント欄に、文字通り油が注がれる形になる。西野朗新監督に率いられる日本代表に選出されている本田圭佑は今、サッカー人生で最大級と言っていい逆風の真っただ中にいる。

 日本代表監督を電撃的に解任されたヴァイッド・ハリルホジッチ氏が、4月下旬に都内で開いた反論会見。約1時間半にわたって思いの丈を訴えた前指揮官は、日本代表が6大会連続6度目のワールドカップ出場を決めた、昨年8月31日のオーストラリア代表戦後のある状況を唐突に取り上げた。

「2人の選手が少しがっかりしていた。最終予選を突破したが、2人が試合に出なかったからだ。それまでは何年も試合に出ていた彼らが、がっかりしていることを私は悲しく思った」

 ハリルホジッチ氏は最後まで、具体的な選手名には言及しなかった。それでも、オーストラリア戦に招集されていた選手たちと、実際にピッチに立った選手たちとを照らし合わせれば、落胆していた2人が香川真司(ボルシア・ドルトムント)と本田だったことが分かる。

 そして、タイミングが悪いと言うべきか。日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長が説明した、選手たちとのコミュニケーションや信頼関係がやや薄らいできている、という不可解な解任理由に対して批判が殺到していた5月14日に、NHK総合テレビが本田の特集番組をオンエアした。

 今年2月からメキシコなどで密着取材を続けてきた『プロフェッショナル 仕事の流儀』は、オンエア前に「ヴァイッド・ハリルホジッチ氏の日本代表監督解任の舞台裏を告白する」という、事実とは反する告知が流布されていたことで図らずも大きな注目を集めた。

 NHK側は件の告知を撤回した上で謝罪したが、実際に番組内で流れた本田の言葉はある意味で衝撃的だった。約半年ぶりに日本代表へ招集された今年3月のベルギー遠征で、ゴールやアシストという目に見える結果を残せなかった事実を認めながらも本田はこう紡いでいる。