しかしそこまでして、あえて消費増税を行うのは、経済政策としては得策でない。

 いっそのこと、今は財務省の公文書改ざんなどの不祥事から政局になっているのだから、政治的な判断として、国民の行政に対する信頼が回復するまで、当分の間、消費増税を延期するのが正解ではないだろうか。

 だが残念ながら、経済財政諮問会議では経済政策としてもこうした結論にはならないようだ。それは、本コラムで何回も指摘しているように、財政再建の考え方を根本的に理解していないからだと考えざるを得ないのだ。

財政再建で重要な指標は
ネット債務残高対GDP比

 以前の経済財政諮問会議は、財政再建の目標や指標は、国と地方の基礎的財政収支(借入金を除いた税金などの正味の歳入と、借入金返済のための元利払いを除いた歳出の収支、PB)を黒字化すること一辺倒だった。

 最近は、PBのほかに、債務残高対GDP(国民総生産)比を大きくしないことにも言及し、一歩前進ではあった。

 しかし、財政状況を確認する場合はグロス債務残高対GDP比率ではなく、日本銀行を一体化して考える「統合政府」ベースの、負債から資産を差し引いたネット債務残高対GDP比がもっとも重要だ。

 これは、民間企業の時、財政状況を連結ベースのバランスシート(貸借対照表)で見るのと考え方はまったく同じである。このことは本コラムでもずっと指摘してきた。

 もし経済財政諮問会議の委員がこの原理をわからないとしたら、専門家失格と言わざるを得ない。

 そのうえでまず指摘したいのは、ネット債務残高対GDP比率とプライマリーバランスとの間には、以下のような単純な数学の関係がある(2017年9月21日付本コラム「財務省は「借金」だけを見て財政再建を言うから間違える」を参照)。