新しい財政健全化計画は2015年度までを見込んでいるが、21年度時点で、3つ指標を使って、財政状況の中間検証をするという。

 3つの指標というのは、

(1)PB赤字の対GDP比率を1.5%程度
(2)国債の利払い費を加えた財政赤字対GDP比率を3%
(3)国と地方のグロス債務残高対GDP比率を180%台前半

 にするというものだ。

 だが2つ目の財政赤字対GDP比は余計だし、3つ目のグロス債務残高対GDP比率も、これまで説明してきた考え方からもいただけない。

 景気対策のために建設国債を発行した場合、グロス債務残高は増加するが、公共投資などで資産も増えるからネット債務残高は変化しないのだ。

 それに今の財政状況から見れば、将来収益を生む有効な投資は、建設国債を発行してどんどん行うべきだ。

 今の低金利であれば、利払いなどのコストを将来収益が上回るような投資はかなりできるはずだ。それが物的投資であっても人的投資であっても、両者を区別することなく行えばいい。

 投資であれば、バランスシートで考えると、右側の負債を増やすが、一方、左側の資産も増やすので、ネットベースのバランスシートで見れば債務残高は増えないし、将来収益が確保されるのであれば利払いもできるから、まったく財政として問題ない。

 しかしグロス債務にこだわると、そうした将来有望な投資も阻害してしまう。経済財政諮問会議が、グロス債務残高にこだわること自体がマクロ経済運営としては過小投資となって有害なのだ。

 ネット債務残高に着目して経済運営を行うのは、昨年3月に来日して、経済財政諮問会議で話をしたノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・E・スティグリッツ・米コロンビア大学教授の趣旨とも合っている(2017年4月6日付本コラム「報道されなかったスティグリッツ教授「日本への提言」の中身」)。

 経済財政諮問会議も少しは、真面目にやってもらわないと、困るのは国民だ。

(嘉悦大学教授 高橋洋一)