“貿易戦国時代”に日本が生きる道は

 米中間の貿易摩擦が厳しさを増している。振り返れば、80年代、90年代には日米間でも激しい貿易摩擦があった。米中、日米どちらの摩擦も、多額の対米黒字を計上していたという点では同じだが、米中摩擦は世界的な貿易戦争を引き起こす危険性を秘めている。

 米中二大国に挟まれた日本は、片方の陣営に肩入れすることなく、自由貿易体制を守るという価値観を共有できる仲間を増やすべきだ。

米中摩擦は日米摩擦と違う
中所得の「大国」中国の輸出主導は続く

 米中貿易摩擦とかつての日米貿易摩擦とはどこが違うのか。まず、日本と異なり、中国は中所得国のまま世界第2位の経済大国となった。

 図表1は日本と中国のマクロ経済指標を米国=100として指数化し推移を見たものだ。

 現在の中国のGDPの規模は米国の6割程度であり、90年代半ばの日本とほぼ同じだ。だが大きく違う点がある。