ソニー過去最悪の赤字で<br />ささやかれる電池事業の売却4月よりトップに就任した平井一夫社長兼CEOの下で“選択と集中”を進めるも、成長ドライバーは見えない
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 ソニーが2012年3月期の決算で、過去最悪の5200億円(売上高6兆4000億円)の最終赤字となる見通しを発表した。

「大変重く受け止めている。聖域なき改革でさまざまな施策を打つ」

 10日にソニー本社で開かれた緊急の記者会見。壇上の加藤優・最高財務責任者(CFO)の声が、会場にむなしく響き渡った。

 ソニーが同期の業績を下方修正するのは、なんと4回目だ。当初は売上高7兆5000億円、営業利益2000億円をうたったが、主力の液晶テレビで赤字拡大に歯止めがかからず、タイの洪水や円高も重なり、売上高と営業利益が大幅に縮小した。

 さらに今回、米国での業績回復が見込めないため、「繰延税金資産」の取り崩しなどにより、最終損失がさらに約3000億円膨らんだのだ。

 必然的に、社内では抱え切れない事業を譲渡・売却するなど、リストラが加速している。

 昨年11月には中小型液晶ディスプレイを作る「ソニーモバイルディスプレイ」を切り出し、新会社のジャパンディスプレイ傘下で東芝や日立製作所と統合。化学系子会社「ソニーケミカル」も、日本政策投資銀行に譲渡すると発表した。

 両社に所属する計約5000人の従業員を含め、国内外の社員ら計1万人にリストラの大ナタを振るっている。

 そして、次なる「切り出し」の候補としてささやかれているのが、電池事業だ。