金融庁も推奨「株式持ち合い縮減」が従業員を不幸にする理由

金融庁と東証が
持ち合い縮小を促す

 6月1日、金融庁は「投資家と企業の対話ガイドライン」を策定し、東京証券取引所は「コーポレートガバナンスコード」を改訂した。後者の原則1─4は、「上場会社が政策保有株式として上場株式を保有する場合には、政策保有株式の縮減に関する方針・考え方など、政策保有に関する方針を開示すべきである」としており、前者にも類似の記述がある。

 金融庁のホームページ上の文書に「政策保有株式については、企業間で戦略的提携を進めていく上で意義があるとの指摘もある一方、安定株主の存在が企業経営に対する規律の緩みを生じさせているのではないかとの指摘や、企業のバランスシートにおいて活用されていないリスク性資産であり、資本管理上非効率ではないかとの指摘もなされている」との記述があることから、これが背景にある考え方だろう。

 では、鉄鋼メーカーA社と自動車メーカーB社が、株式を持ち合っているケースについて考えてみよう。