つまり、金額は増えたが、返す能力の裏付けも増しているという意味で、借金の性質が違うのだ。本来なら、借金の良しあしはそのように稼ぐ能力や他に持っている資産なども考慮して、総合的に判断すべきなのだ。

ない方が正しい企業経営!?
借金への誤解蔓延する日本

 もう一つ大きな誤解が、株主が出してくれたおカネに対する認識だ。特集で詳細を述べるが、「株主が出してくれたおカネは返さなくていい楽チンなおカネだ」と誤解している経営者がいる。

 企業の資金調達では「調達コスト」という概念があり、そのコストはいかなる場合でも「借金<株主からのおカネ」なのである。言い換えれば、借金が少な過ぎるのは高コストであり、効率が悪い。

 最後の誤解は「借金をしている企業は手元におカネがない」というもの。こちらもそうは言い切れず、借金をしつつも手元に現金を置き、有事に備える企業もある。

 というわけで、「うちは無借金経営」と胸を張る経営者がいても、それは必ずしも誇れることではない。成長していて、かつ無借金ならまだしも、座して死を待つような停滞状態で、リスクを取って新事業をやらないのなら、企業の存在意義にも関わる。

 それは中小企業でも同じだ。中小企業への融資の際、銀行は自己資本比率の高さをあまり重視していない。それよりも、その企業の稼ぐ能力であるキャッシュフローに重きを置いている(特集で解説)。

 現在は、未曽有の低金利だが、多くの専門家は長期では金利が上昇するとみている。企業にとっては今が借り時ともいえそうだ。

 もちろん、際限なく借金をすることを勧めるわけではない。