経営×ソーシャル
識者に聞く ソーシャルメディア進化論
2018年6月19日
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武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

ベーシックインカム導入で、ロボット大国日本はもっと「幸福」になれる

【池上高志氏×武田隆氏対談3】

古くは動力革命をもたらした蒸気機関から、現代においては情報革命をもたらしたパーソナルコンピュータまで、これまでも革新的な技術が生まれるたびに産業の歴史が塗り替えられ、そのたびに私たちは飛躍的な経済的発展を遂げてきた。ならば今まさに注目を集めているAI(Artificial Intelligence:人工知能)、さらにはALIFE(Artificial Life:人工生命)は、私たちの経済に、生活に、どれほど計り知れない変化をもたらすのだろうか。新たな技術が生み出されるたび、私たちは「これが何の役に立つのか」「どうしたらビジネスになるのか」という視点で捉えがちだ。だが、ALIFEの専門家である池上高志・東大教授はそうした功利主義的風潮を「本当につまらない」と一刀両断する。では、池上教授が考えるこれからAI、これからのALIFEと人間社会との関わりのあるべき姿とは?

日本はベーシックインカムに
向いている

AI(人工知能)やALIFE(人工生命)は人間社会とどう関わるべきか池上高志(いけがみ・たかし)
1961年、長野県生まれ。複雑系・人工生命研究。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。理学博士(物理学)。現在、東京大学大学院総合文化研究科・広域システム科学系・教授。人工生命(ALIFE)に新たな境地を切り拓き、研究を世界的に牽引。アート作品でも注目される。著書に『動きが生命をつくる』(青土社、2007年)、『生命のサンドウィッチ理論』(講談社、2013年)、『人間と機械のあいだ』(講談社、2016年)など

武田隆(以下、武田) 池上先生は、ALIFE(人工生命)とベーシックインカムとを組み合わせることで、日本を救えると考えてらっしゃるんですね(対談第2回を参照)。

 ベーシックインカムと言えば、政府が国民に現金を一律で支給する社会保障制度構想です。フィンランドやケニアが実証実験を行うなど、国民の生活を最低限保障する新たなあり方として、いま世界的にも注目が集まっていますが、日本では、有識者から期待の声が上がっている一方で、政府内での導入意向は低く議論も進んでいません。

 ベーシックインカムを導入するということは、その国なり自治体なりといったコミュニティが居住者に対して「生まれてきてくれてありがとう」というメッセージを発することになる、と私自身は考えています。そのメッセージを受け取った居住者は、場へのロイヤルティが高まり、そのことが社会をより活発にすることにもつながると思うのですが、池上先生がベーシックインカムに期待されているのは、どういう理由からなのでしょうか。

池上高志(以下、池上) AI技術の進化は、自動化と自律化の2つの方向がある、という話をしましたよね(対談第1回を参照)。



武田 隆(たけだ・たかし) [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

日本大学芸術学部在学中の1996年、前身となるエイベック研究所を創業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発し、複数の特許を取得。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。これまでに森永乳業、ライオン、資生堂ジャパンをはじめ、300社超のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア(矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリンと大阪に支局を開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、ロングセラーに。また、CSR活動の一環としてJFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」のパーソナリティも務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


識者に聞く ソーシャルメディア進化論

史上最も多くの人々がつながり合った今、私たちを取り巻く社会はどう変化していくのか? NTTドコモ、セブン&アイ、資⽣堂ジャパン、ライオン、森永乳業をはじめ300社超のマーケティングを支援してきたクオン代表 武田隆氏が、各分野の有識者とともに変わりゆくインターネット時代の未来を読む。

「識者に聞く ソーシャルメディア進化論」

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