2017年度における不正問題の影響額は、利益ベースで123億円だ。ただ、その多くは顧客への補償費用や弁護士費用が占めており、他社への乗り換えを含む販売減少の損失額は、鉄鋼事業でたったの20億円しかなかった。不正の温床となっていたアルミ・銅事業では、アルミの需給がタイトで同影響額はさらに少ないもようだ。

100億円の損ですむか

 神戸製鋼は、不正問題の18年度における影響額も、100億円にとどまると見込んでいる。しかし、業績を押し下げる新たなリスクはじわりと顕在化しつつある。

 Xデーの到来に伴い、不正競争防止法違反が認められれば、処罰を受ける可能性が高い。その場合、法人には3億円以下の罰金、個人には5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科される。

 それだけではない。今後は、取締役の善管注意義務違反により会社に損害が生じたとして、株主代表訴訟を起こされるリスクも考えられる。「リスク管理体制を構築していたとしても、実際のところ、その体制が機能していなかったことに取締役の責任があるなら、可能性は否めない」(企業法務に詳しい中島成弁護士)のだ。

 また、株価は不正発覚前の1300円前後から1100円近傍へと低迷しており、株主から株価下落分の損害賠償請求訴訟を提起されるリスクも燻っている。

「(神戸製鋼と統合するのが)嫌だってことはないですよ。ただ、現時点でそこまで考えてるってことは、本当にない」。進藤孝生・新日鐵住金社長は、神戸製鋼に家宅捜索が入った翌日、こう述べた。だが、もし不正問題が長引くようなら、神戸製鋼はこれまで貫いてきた独立独歩の道を諦めねばならなくなる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)