新型クラウンの内装。各部に品の良さを感じる、シンプル&エモーションがキーワード内装でも各部に品の良さを感じる、シンプル&エモーションがキーワード Photo by Kenji Momota

 クラウンの場合、2003年登場の第12世代以降、同じ車台を改良してきたが、TNGA採用の差はカムリ以上に衝撃的だ。事実、今回前モデルの14世代を同コースで試乗したが、新型と比べるとクルマの動きの基本3要素であるロール・ヨー・ピッチングの動きが、明らかに「唐突だ」と感じてしまうほど、新型の動きは全体の一体感がある。

 その後、各モデルを乗り比べたのだが、結論としては、3種類のエンジン搭載モデルそれぞれにしっかりとした個性を感じた。

 一般的には、こうした各種エンジンがあるモデルの場合、ベースモデルがまあまあのバランス感で、排気量が小さいエンジン搭載では車体前部が軽くなってコーナーでの旋回性が良くなり、最上級の大排気量車はズッシリとした走りとなり、それぞれに一長一短ある場合が多い。さらに、スポーティモデルは高性能タイヤの影響が色濃く出るものだ。

 ところが、新型クラウンはそれぞれのエンジン搭載モデルが「別のクルマ」と思えるほど、細部に渡ってベストチューニングされている。

 その中で最も驚いたのは、最後に試乗した3.5リッターハイブリッド車のRSの出来栄えだ。コーナーリング中の動きのバランス感の良さから、コーナー後半でグイグイという伸びやかさに、筆者は感性を刺激された。トヨタ車に乗ってこんな気持ちになったのは、数十年ぶりである。

 新型クラウンは外観やインテリアのデザインのみならず、走り味についても、商品の微妙な差を感じる取る能力に優れた日本人のためだけに、徹底的に造り込んだという印象だ。

 こうした配慮は、世界市場全体の富裕層に向けて商品開発しなければならないメルセデス、BMW、アウディ、さらにはアメリカと中国を強く意識する必要があるレクサスとの大きな違いである。

 では、なぜここまでして、トヨタは新型クラウンを日本市場専用車にする必要があったのか?