特に、「北朝鮮の完全で検証可能、不可逆的な非核化」ではなく、「朝鮮半島の完全な非核化」という文言は中国の国益に全く符合するものである。

 中国にとっては、北朝鮮だけでなく、韓国における米国の“核の脅威”が撤去されて初めて、自らの戦略が達成されたといえるからだ。習近平・金正恩会談の開催、およびトランプ・金正恩会談の分析双方に直接関わった党中央対外政策関係者はこう述べる。

「米国は不可逆的で検証可能な非核化を、北朝鮮は非核化と制裁解除の同時進行を主張している。両者の妥協点として、段階的かつ検証可能な非核化、それと同時進行で、徐々に制裁を解除していくというものになると我々は見込んでいるし、それを望んでいる」

 トランプ大統領が、米朝間で非核化に向けた交渉が続いている間は米韓合同軍事演習を中止することに理解を示したことも、中国の戦略に符合するといえる。「北朝鮮が核実験を停止し、米韓も軍事演習問題で自制的になっている。これは事実上中国側が提起してきた“双暫停”というイニシアチブを実現したことにほかならない」(6月13日、中国外交部耿爽報道官、同部定例記者会見)。

 本稿は中国の見積もりを検証することに焦点を当てているため多くは書かないが、筆者から見て、金正恩が今回対米関係の改善に乗り出した最大の動機の1つが米中関係の悪化である。金正恩は米中摩擦に戦略的契機と外交的空間を見いだし、それを利用しながら、中国機でシンガポールに飛び米国大統領との会談に臨んだのだと筆者は見ている。

「北朝鮮化」する中国・習近平政権を
北朝鮮の金正恩は信用した!?

 そして、最後の3点目である。