ラップ口座に活路見出す
驚異的な顧客負担コストの低さ

 でも、諦めなかった。「もはや、次はラップしかない」。彼は以後、投資一任でノーロード型(販売手数料ゼロ)、残高比例によるフィービジネスであるラップ口座の創設にかじを切った。それも、GAIAが資産運用に深く関わる仕組みのラップである。

 楽天証券との創設準備には結局、2年を要した。楽天証券のプラットフォームを活用するのは従来のIFAモデルと同様であり、運用も楽天証券が担うが、その銘柄選定に関する助言はGAIAが行い、さらに、資産配分に関する助言には世界的な資産運用コンサルティングファームであるマーサー・インベストメント・ソリューションズを迎え入れた。

 これは、わが国のラップ口座の中では特筆される出来事だった。というのも、大手証券や信託銀行が提供するラップ口座は、助言等を運用証券会社から外出しする形態は取っていながら、実態としては同一グループ内の分業にとどまっているからだ。そこには、常に透明性の陰りが指摘され、顧客利益の絶対性に疑問が投げかけられている。

 つまり、わが国のラップ口座において、この潜在的問題を排除した初めての仕組みが楽天・GAIAモデルなのだ。

「GMA(GAIA Monitored Account)」と命名した新ラップサービスを巡っては、もう一つ、見落とせない点がある。購入者が負担するトータルコストの低さだ。他社の場合、トータルコストは残高に対して年2.5%~3.5%程度に設定されているのに対して、GMAは年1.8%である。このローコストもIFAモデルの超軽コスト構造に由来している。

 モデルの透明性、顧客利益に反しない仕組み、そして、顧客コストの低さ――。いずれをとっても競争力がある。中桐氏は2016年10月、満を持してリリースした。

 ところが、前述したように、その直前からGAIAは黒字基調を外れ、赤字垂れ流しという泥沼にはまってしまった。

「従来型のサービスは年3%の手数料を頂戴してきた。それよりもはるかに低コストのサービスを開始しようという中で、従来型を顧客に勧めることはできなかった」

 2016年7月の赤字化は顧客を裏切れないという信念に基づく従来型サービスの自粛のために引き起こされたのだ。もちろん、新サービスのラップ「GMA」の資産が積み上がると信じていたが、一定の残高に達するまではコスト先行となる。ましてや、既存サービスからのシフトは収益減でもある。

 当初3ヵ月で、既存サービスの投信からのシフトによってラップ残高は45億円に達したものの、それ以後は月間5億円程度の地道な積み上げとなった。