「祖父は若いころは普通に働いていました。お寺で生活をしながら、その近くで勤務して、数少ない法事があったらそれをやるという感じでした。父は退職してからなので、年金でやりくりしています」

 男性も将来、実家の寺を継ぐつもりではいるが、金銭的な事情から今すぐにはとはいかない。

「実際に今帰っても生活ができないので、年金をもらえるようになるまでは無理かなと。父に頑張ってもらわないとなという感じですね。住職(だった祖父)がいた頃から、お寺だけでやっていける状況ではなかったので」

 男性の修行仲間も、働きながら修行に来ていた人が多かったという。僧侶になった後も、男性と同じように別の仕事をしながら、お盆などだけ衣を着る人もいる。

 人口減少や過疎化で、地方を中心に檀家の数も減っている。お寺と社会との結びつきが薄れ、「消滅する」とまで指摘される一方で、気軽に僧侶を依頼できる「お坊さん便」のようなネットサービスが成長している。これからのお寺の役割をどう考えるのか、男性はこう話す。

「『墓じまい』という言葉も聞かれるようになりましたが、自分の供養が迷惑と決めつけて、続いてきたお墓をしまうという考えは違うんじゃないかと思います。子供や孫はちゃんと供養したいと思っているかもしれません。だからやっぱり、お寺は必要なものなんですよね。ネットでもこれだけ困っている人がいる。『ご先祖様をちゃんと大切にしなきゃいけない』と、伝えるべきことをお話するのがお寺の役割です」

「檀家の方にとってだけじゃなくて、地域の中でも重要な役割があると思います。ちゃんと必要とされる存在であり続けるというのが重要ですよね」

(ハフポスト日本版ニュースエディター 濵田理央)