インドネシアは階層社会であり、下の人が意見を言うことは滅多にない。それゆえ、フラットな組織を構築していくのが非常に難しかった。また、対立や争いを避けるため、発言をためらう傾向にあることも課題だった。そこで小林氏は、「言いたいことがあれば、誰でも発言していい」というメッセージを繰り返し伝えるようにした。加えて、ミスがあっても決して責めず、なぜミスが起こったのか、防ぐにはどうすればいいのかを伝える姿勢に徹した。そのうちに「ミスが起きて悔しい」といった発言が出るようになり、改善策の提案がなされるようになる。こうして、意見を出し合い、それを業務に反映させ、実践することができるようになったのは、大きな進歩だった。

 文化や価値観が異なるため、まだまだ課題も多い。しかし小林氏は、文化の違いを理解し、尊重してマネジメントすることを心掛けている。こうした経験は、星野リゾートにとっても貴重なノウハウになるはずだ。

一読のすすめ

 要約では6つのストーリーを取り上げた。実際の書籍では、10のストーリーに加え、各章ごとにコラムが挿入されている。コラムでは、「楽しく仕事をするための仕掛け」「やる気のある人に機会を与える仕組み」「主体的に学びたくなる仕掛け」が紹介されており、非常に興味深い。

 また、随所におしゃれな宿泊施設の写真が掲載されており、思わず現地へ足を延ばしたくなること請け合いだ。

評点(5点満点)

総合3.8点(革新性3.5点、明瞭性4.0点、応用性4.0点)

著者情報

前田はるみ(まえだ・はるみ)

 ライター。ビジネス誌を中心に取材・執筆を行なっており、丹念な取材力には定評がある。過去数十回にわたり、星野リゾートを取材しており、星野リゾートの組織文化をよく知る人物。

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