米中貿易摩擦の行方米中貿易摩擦はいつまで続くのでしょうか?

 皆さんこんにちは。三井住友アセットマネジメント調査部です。毎週土曜日に「ビジネスマン注目!来週の経済、ここがポイント」をお届けしています。

 7月の第1週は、米国に注目です。重要な経済指標が発表される他、米中の500億ドル相当の輸入に対する追加関税が予定通り開始されるかどうかが明らかになる見込みで、今後の内外経済の行方を占うには、極めて重要な週となりそうです。

非常に好調な米国経済、
今週の雇用統計では賃金の伸びに注目

 それでは、早速、世界経済をリードする米国の経済状態をチェックしてみましょう。特に、今週発表される経済指標の中では6月分の雇用統計に要注目です。

 三井住友アセットマネジメントでは、米経済は万全の状況になりつつあると考えています。米国経済は、景気拡大期9年目にしては大変好調で、家計や企業などの経済主体の景況感は良好、雇用情勢は堅調、消費や企業設備投資は堅調に伸びています。この4-6月期の実質GDPの前期比年率成長率は、アトランタFED(米連邦準備制度理事会)のリアルタイムGDP予想モデルのGDP Nowによると+4.5%となっています(6月27日時点)。

 金融市場では昨年の秋頃は、いつ、どのようなペースで米国の経済成長率が減速していくかの議論も聞かれましたが、むしろ米国経済はその頃よりも加速しています。

 米国経済をこの活況に導いたのが、昨年末に決定された大型減税と今年の春に決まった財政支出の増加です。これらにより、今年の米経済成長率の市場予想は、昨年6月ごろには前年比2.3%だったのが、現在は同2.9%に引き上がりました。

 経済全体の成長見通しが高まれば、雇用者数も増加します。実際に雇用統計のトレンドを3ヵ月平均値で見ると、昨年秋の月間15万人程度の増加ペースから、直近5月は約18万人増加ペースに加速しています。

 7月6日に発表される雇用統計も好調な雇用増が発表される見込みで、現在の市場予測は前月比19万8000人増加(ブルムバーグ調べ、6月28日)となっています。

 米国は失業率も3.8%と米国としては歴史的な低水準まで下がっていて、賃金も前年比+2.7%と緩やかながら増加ペースが高まっています。賃金の上がり方は、失業率の低さを考えるとやや力強さに欠ける状況ですが、賃金が大きく上がりすぎるとインフレの高まりにつながりやすくなるため、ゆるやかな賃金の上昇は景気が長持ちするかどうかの観点ではむしろ望ましいと考えることができます。