なぜ老後資金は不足するのか?老後に備え、現実を見据えたマネープランを立てていますか?(写真はイメージです/photo:PIXTA)

2045年には日本人の平均寿命が100歳になるという「超高齢化」の時代。以前から「長生きするリスク」について提言をしてきた『老後に破産しないお金の話』の著者・大竹のり子氏に、私たちが今すぐにでも取りかからなければならない老後資金の準備について解説していただきます。

50代より前に現実を見据えた
マネープランを立てるべき

 私のもとには、最近とみに老後のお金についての相談が増えています。その多くが、50歳を過ぎてから。本当は、もっと早くからきちんと現実を見据えたマネープランを立てておくべきなのですが、働き盛りのうちは、なかなか「老後」がイメージできないようです。

 そんな典型例ともいえる2人に登場してもらいましょう。

 50代後半のAさんは、大手に入る広告代理店に勤めています。40代ですでに1000万円を超える年収を手にするなど、同世代の平均より高い給料を手にし、経費もかなり使えたため、長く独身貴族を謳歌してきました。

 40歳を過ぎてから結婚し、子どもが生まれたのを機に、都内一等地の高層マンションを約7000万円で購入しました。頭金は両親にも助けられて2000万円を用意したものの、5000万円近いローンを組んでいます。

 幸せの絶頂にあったこの頃から、マネープランに赤信号がともり始めましたが、その時はまだ気づかず、定年が見えてきた今になってうろたえています。なぜなら、どう考えても老後の資金が足りないからです。65歳からもらえるはずの年金と貯蓄を合わせてみても、そのほとんどが70歳までの住宅ローンの返済でなくなってしまいます。

 となれば、その後はわずかな公的年金で暮らすしかありません。これまで贅沢してきたAさんには、とても受け入れがたい状況なのです。