人影少ない駅前通り

 夜になると、秋田駅前の大通りも人影はまばらになる。デパートの前の看板は「週末は、夜もゆっくりお買い物」と宣伝しているが、閉店は午後7時半だ。

 2017年の秋田県の死亡者数は、人口1000人当たり15.5人。死亡率は全国で最高となっている。出生率は同5.4人で全国最低。

 行政サービスの仕事に従事する三浦史佳氏は、街の様子について「変わりました。葬祭会館が増えましたね。以前はそんなになかったんですけど、昔あったビルが新しくなって、何かなと思っていると葬儀場になっている」と語る。

 労働力不足は全国的な問題だが、特に秋田では介護の仕事をする人が足りず、増大する介護サービスの需要を満たすことが困難になっている。

 秋田認知症介護支援センター「ふきのとう」の沼谷純理事によると、介護士がいないため、3つあった施設の1つで、昨年営業を停止せざるをえなくなった。同理事は「お客さんはいるけど、お客さんを入れられない。働く人がいないから。働き手不足、労働力不足による閉鎖、休止というのが今の介護業界では実際に起きている」と話す。

 県議会議員でもある沼谷氏は、秋田など地方で起きている問題は、いずれ東京にも直接、影響していくと指摘する。「地方で子供が生まれ育ち、その子供たちが東京に行き、生産をして、消費をし、経済をつくる。それが、戦後の経済成長期から続くモデルだった。でも今地方には、子供を供給する力がなくなってきている」、「地方が成り立たなくなって来ると、東京も当然成り立たなくなる」。

出産する病院がない

 人口3万1000人の鹿角(かづの)市では、今秋から出産をする女性は隣の市の病院まで行かなければならなくなる。市内の病院が分娩を扱うことを止めるからだ。

 市民団体「鹿角の産婦人科を守る会」の安保大介代表は「出産は地域の土台。経済も含めて鹿角が衰退する一番の原因になりかねないので、その土台をなくすわけにはいかない」と危機感をつのらせる。

 秋田県にある企業の3分の1は、従業員が70歳を超えても働けるようにしている。全国で最も高い比率だ。