都内でも“小さな共学校”として知られる多摩大聖ヶ丘。少人数できめの細かい指導、本物から本質に迫る教育、主体性と協働性の育成、の三つの柱を教育目標に掲げている。今年度から、夏期に「A知探Q」という斬新なサマーセミナーを開始する。

中学高等学校
歌田裕也教頭
多摩大聖ヶ丘は1学年120人、少人数できめの細かい指導を実現している“小さな共学校”である。大切にしているのは、本物から本質に迫る教育、そして主体性と協働性の育成だ。その同校で、今年度から夏期休暇を利用してユニークな取り組みがスタートする。
名称は「A知探Q」。サマーセミナーの一種で、各教科の担当教員たちが自らの好奇心に基づいてテーマを設定、各分野の本質的な興味をかき立てる“型破り”な内容になっている。
例えば国語科では、落語の背景や表現の幅を学び、言葉の持つ可能性を知る「落語ってこんなに楽しいの!?」。理科の「美味(おい)しいハンバーグの科学」では、食材の性質や調理法を学んだ後で“科学的に”美味しいハンバーグを調理してみる。体育科では東京オリンピック・パラリンピックから新種目となるボルダリングに挑戦する「Let's challenge bouldering」を開催する。こうした講座が合計28用意されており、1講座は4日間単位、生徒は好きな講座を選択できる。
「『A知探Q』の狙いは、生徒たちが日常と勉強とのつながりを発見し、学習への意欲を喚起してもらうことにあります。教科学習への起爆剤として有効だと考え、若手の教員たちが中心となり、実行することにしたのです」
そう語るのは歌田裕也教頭だ。全学年が対象のため、学年を超えたつながりや、異年齢の学び合いも期待されている。
理系の現役生5人に1人が国公立大へ進学

“本物から本質に迫る教育”を標榜している通り、同校では他にも体験学習をさまざまな形で用意している。例えば春休みには、高1、2年を対象に「カンボジアスタディーツアー」が開催される。修学旅行からスピンアウトした企画で、現地ではキリングフィールドやアンコールワットの見学の他、孤児院(児童養護施設)2カ所を訪問、子どもたちの生活を通して発展途上国の課題を考える。
「現地を体験することで、生徒たちは社会を見る多角的な視点が養われ、課題解決のための方法を主体的に深く考えるようになります」と、歌田教頭は生徒たちの成長を語る。
進路選択に当たっても、生徒の主体性を尊重する。進路指導とは、名の知れた大学に生徒を送り込むことではなく、生徒自身が“この大学のこの学部でこの勉強がしたい”という目標を見つけさせることだと考えている。その結果2018年度の大学入試では、現役理系の生徒の5人に1人が、各地の国公立大学へ進学するという実績を出した。
少人数故に、生徒と教員の距離が近くアットホームな雰囲気がある。とはいえ、程よい距離感を保ち、生徒の主体性と協調性を育むことを忘れない。一人一人の生徒の個性と才能を見極めながら、6年間かけてじっくりと育てるのが多摩大聖ヶ丘の校風だ。
[PR]