中国経済の大混乱は
日本にとってチャンスか

 もし、貿易が止まれば米国などにも大きな悪影響が出る。中国経済が痛めば、世界経済も痛むはずだという人は多い。それでも中国の躍進を止めることが世界の覇権争いを左右するならば、「西側先進諸国」は経済の混乱を甘受すべきだと考える人もいるだろう。

 状況の深刻さによるが、筆者としては、世界経済の混乱は限定的であると楽観的に考えている。短期的には、世界経済もかなり混乱すると思うが、数年のタイムスパンで見れば、現在の中国経済が世界経済で担っている役割は、他国が代替できるものだからだ。

 そうであれば、「自由」と「民主主義」という共通の価値観を死守したい西側諸国にとって、将来の中国の覇権を阻止できる効果の方が大きいと期待している。もしかすると、米国の本音はそこにあり、中国経済の大混乱まで予想し、狙っているのかもしれない。「肉を切らせて骨を断つ」覚悟をしている、ということなのかもしれない。

もっとも、そのためには「経済が混乱してもトランプ大統領が再選されると確信できる」ことが必要であり、本当に米国の政権がそこまで考えているのかは定かでないが、ひょっとすると「外に敵がいる方が国内が団結する」とまで考えているのかもしれないし、現時点では何とも言えない。

 ちなみに、日本は米中経済戦争で相当大きな“漁夫の利”が期待できる位置にいることを忘れてはなるまい。短期的には、米国の対中輸入の一部が対日輸入に振り替わると期待されるし、中国の政治経済が混乱して資本や人材が流出するとすれば、その行き先として日本も上位に来るはずだからだ。

 反日教育にもかかわらず、多くの中国人が日本へ観光旅行に来て、良い印象を持ち帰っているといわれている。そうした“草の根の親日”が広がれば、日本を移住先に考える中国人富裕層や技術者などが増えると期待される。

(久留米大学商学部教授 塚崎公義)