「獺祭」で知られる日本酒メーカーの旭酒造水に浸かり使えなくなった酒瓶の山。社員総出で泥かきの作業に追われているという

「獺祭」で知られる日本酒メーカーの旭酒造(山口県・岩国市)。西日本豪雨の影響で生産停止を余儀なくされるなど、大きな被害が発生している。被災直後の7月9日、桜井一宏・旭酒造社長が本誌のインタビューに応じた。(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝)

――被害の状況について教えてください。

 まず、製造設備のある12階建ての本社蔵についてですが、そばにある川が氾濫したことで水が押し寄せ、1階部分が大きく浸水しました。パソコン類やサーバが駄目になったほか、製造用のコメや瓶が流されました。また、地下にある排水処理施設も全て浸水したため、生産設備が稼働できません。生産は全て止まっています。

 停電も続いています。タンクの温度管理ができませんので、残念ながらいまタンクに入っている製造途中のお酒は、品質の面で獺祭ブランドとして出荷はできない状態です。これらについては、最悪廃棄処分もあり得ます。

――在庫に影響は?

 幸い、本社蔵とは別の場所にある出荷センターは被害がなかったため、およそ1ヵ月~1.5ヵ月分の出荷在庫はあります。