介護現場で働く張志笭さん「そんぽの家S 西東京泉町」で介護職員として勤務する張さん

「移民」というと急に遠い存在に思えるが、あなたのすぐそばで、一般企業に勤める中国人もその一例である。ここでは、あまりクローズアップされないリアルな“隣人”の姿を追った。中国人採用のヒントがここにあるはずだ。(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 相馬留美)

日本で介護を
職に選んだ経緯

 今年6月に政府が発表した「骨太の方針」では、新たな在留資格「特定技能(仮称)」のなかに“介護”が盛り込まれ、外国人労働者数を毎年約1万人拡大すると試算している。

 では現在、実際に日本で介護職として働いている中国人は、どんな経緯で日本にやってきたのだろうか。

 西武池袋線ひばりが丘駅から徒歩20分の静かな住宅街に、ひっそりと立つのが「そんぽの家S 西東京泉町」だ。SOMPOホールディングスの子会社・SOMPOケアが運営するサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で、入居者は自立から要介護5までと幅広く、この場所を「終の棲家」として選び、やってくるケースがほとんどだ。

 常勤スタッフ6人のうち、スタッフは最年長が70歳、最年少は29歳と、多様な人材がチームワークで現場を回している。そのなかでも、ひときわ明るい笑顔が印象的な張志〓さん(42歳、〓の文字は竹かんむりに令)は、この施設に正規社員として1年前から働いている。

 介護は何よりもホスピタリティが重要な職種である。

 サービス提供責任者の芳賀千鶴さんは、「張さんはいつも笑顔で、優しさが言葉を越えて伝わるようだ。現場での業務上の問題はない」と、太鼓判を押す。