日本銀行が「物価検証」をする本当の狙いは何かPhoto:PIXTA

日本銀行が7月30、31日の政策決定会合で、物価がなぜ上がらないのかについて改めて検証する。4月の決定会合で、これまで異次元緩和策で掲げてきた「2%物価目標」の実現時期を削除。物価が思うように上がっていない背景についても2016年9月の「総括検証」で分析をしたばかりだ。そうしたタイミングでの唐突な“再検証”。その裏には、隠された狙いがある。(ダイヤモンド・オンライン特任編集委員 西井泰之) 

日銀が物価が上がらない理由を検証
「なぜ今さら」と違和感を持つ市場関係者

「4月以降も物価の動きは鈍い。『2%』の実現時期は出さなくなったとはいえ、なぜ物価が上がらないのか、少し丁寧に説明する必要がある」

 日本銀行は、7月末の政策決定会合で、物価がなぜ上がらないのかについて改めて検証する。その表向きの理由を日銀はこのように説明する。

 消費者物価指数(生鮮食品を除く)の前年比伸び率は2月に1.0%だったのが、3月0.9%、4月、5月は0.7%まで低下。6月も0.8%にとどまった。7月の決定会合で出す展望レポートでも、4月に出した「2018年度1.3%、2019年度1.8%(消費増税の影響を除く)」という物価見通しの下方修正は避けられない状況だ。

 だが、今さら物価がなかなか上がらない背景を“検証”することに、違和感を持つ市場関係者は少なくない。