ガソリン価格の上昇原油価格の値上がりで、ガソリン価格も上昇しています。Photo:PIXTA

 皆さんこんにちは。三井住友アセットマネジメント調査部です。毎週土曜日に「ビジネスマン注目!来週の経済、ここがポイント」をお届けしています。

 北米の代表的な原油価格であるWTI価格は、 昨年の今頃は1バレルあたり50ドル台付近で推移していましたが、その後じわじわと上昇しています。今や70ドル程度で、1年で40%程度の値上がりとなっています。原油をほとんど産出しない日本にとっては、原油価格の上昇はそのままコストの上昇に跳ね返り、経済のさまざまな分野に悪影響が及びます。

 そこで今週は、原油価格が上昇している要因を点検し、今後どのような価格推移が見込めるか、また、原油価格のわれわれの暮らしぶりへの影響について考えてみます。

需給バランスが好転し
2018年上半期は需要超過に

 原油価格上昇の主因は、需給の改善にあります。石油輸出国機構(OPEC)月報の今年の7月号によれば、2018年上半期の原油需要は世界全体で日量9785万バレル、これに対して供給量はOPECおよび非OPEC産油国による協調減産等が功を奏し、同9774万バレル(うちOPECの生産量は同3230万バレル)にとどまりました。差し引き同11万バレルの需要超過となります。

 こういった需給の改善が端的に分かるのが、原油在庫量の変化です。米エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration)によると、原油価格が大幅に下落した2014年以降でみると、経済協力開発機構(OECD)諸国の原油在庫量は2016年6月をピークに減少に転じています。

 こうした需給改善に最も貢献していると考えられるのが供給の削減です。具体的には、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非OPECの主要産油国が2016年末に合意した協調減産です。この協調減産の順守率は極めて高く、世界の原油生産の過半を占める国々が減産を守ったため、世界全体の原油の供給量の伸びが抑えられ、需要の伸びを下回りました。米のシェールオイルでは増産が進みましたが、その増産を十二分に吸収した形です。

 一方、世界経済が2016年を成長率の底として、2017年から回復に入ったことも重要です。このため、世界経済の回復に伴って原油の需要もしっかりしたものとなりました。

 これらを要因として、原油価格は2017年の年央頃から上昇トレンドに入り、17年6月末以降17年末にかけて原油価格は約34%上昇しました。

 今年に入っても原油価格が上昇しているのは、皆さんもご存じの通りです。今や、1バレルあたり70ドル前後で推移しており、年初来では16%の上昇となっています。