女優剛力彩芽さん(25)とスタートトゥデイ前澤友作社長(42)のSNS騒動が、賛否両論を呼んでいる。7月26日には、二人同時に「何が起こるか分からないのがSNS。正解はないと思いますが、どうせなら楽しく発信したい。」という趣旨の全く同じ文言をTwitter、Instagramに同時に投稿し、またしても話題になっている。

 女優とはいえ20代の独身女性が、交際している恋人とサッカー観戦に行ったことを匂わせる投稿をしただけで、なぜここまで人は反応してしまうのか。何気なく過ごしているだけでも次々と情報が飛び込んでくる現代。SNSでフォローしているセレブや芸能人の投稿を見てウジウジしたりイライラしたりすることも確かにある。たかがSNSなのに、こうしたネガティブ感情は、なぜ起こるのか?どうしたらネガティブ感情から素早く立ち直ることができるのか? 優良企業や一流アスリート、有名アーティストなど数多くの指導実績があり、最近『先生、ウジウジ・イライラから一瞬で立ち直る方法を教えてください!』(朝日新聞出版)を刊行した人気スポーツドクター・辻秀一さんに聞いた。

 SNSの投稿は、しょせん、他者の生活のほんの1コマにすぎません。それによって感情をかき乱されても仕方ないし、ネガティブ感情を引きずればパフォーマンスはダダ下がり。そう頭ではわかっているのに人の様子が気になって、ついウジウジしたり、イライラしたり……。なぜこんなことが起こるのかというと、私たちの脳には、すべてに対して「意味をつける」という機能があるからです。

 ごく単純な例を挙げてみましょう。たとえば、「朝、起きてカーテンを開けたら雨が降っていて、憂鬱になった」――これは「『雨が降っている』という状況」に「憂鬱」という「意味」をつけ、その「意味づけ」によって感情がネガティブになっているということです。でも目の前にあるのは「雨が降っている」という事実だけであり、本来、「憂鬱な雨」なんてものは存在しません。そして「雨が降っている」という事実だけを見れば、「じゃあ、傘をさして出かけよう」「少しくらい雨に濡れても大丈夫な洋服で出かけよう」「雨用の靴を履いて出かけよう」といった判断がすんなりと働きます。つまり「事実だけを見ること」で、「ネガティブ感情に邪魔されずに的確にパフォーマンスできる」というわけです。この理想的な心の状態を、私は「フロー」と呼んでいます。一言で言えば、自然体で機嫌の良い感じ感じですね。

「雨が降ったら傘をさす」――そんなの当たり前じゃないか、と思ったかもしれませんね。でも、SNSで他人の投稿を見てウジウジしたりイライラしたりするのも、根っこは今まさに説明した「憂鬱な雨」と同じこと。たとえば「今日は楽しい仲間とバーベキュー。最高!」という投稿を見て「自分はこんなにリア充じゃない……」なんてウジウジしたなら、それは「『ある人が仲間とバーベキューをした』という事実」に「リア充」という意味をつけているだけ。本当は「リア充というバーベキュー」なんてないのです。「憂鬱な雨」など存在しないのと同じように。