しかし一方で昨年晩秋、ES細胞の臨床応用分野のパイオニアであり、脊髄損傷患者5人にES細胞加工医薬品を使った臨床試験を実施していた米ジェロン社が、経営上の理由から臨床試験を中止。同時に自身がリードしてきたES細胞領域からの撤退を表明した。

 実際、幹細胞研究のあらゆるステップには特許と規制が絡み、それに費やすコストと時間が研究の足を引っ張ることは否めない。夢から現実への道を狭めないために、適格性や特許保護の是非を含めオープンイノベーションに向けた全体的な議論が必要だろう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)

週刊ダイヤモンド