「熱投」か「酷使」か? はたまた「虐待」なのか? 連日の熱い戦いが繰り広げられた第100回全国高校野球選手権記念大会だが、限られた戦力でトーナメントを戦う甲子園では、特に投手の連投、登板過多、その対策として「投球数制限」が毎年話題になる。球数制限は果たして球児を守る有効な手立てと言えるのか?(文/小林信也)

球数制限は球児の肘や肩を守る金科玉条ではない

高校野球に球数制限は必要か?写真はイメージです Photo:PIXTA

 猛暑の中での「甲子園」、球数制限の導入を訴える声が高まっている。劇的な結末となった済美対星陵の試合、済美のエース山口投手が延長13回を一人で投げきり、184球を完投。この数字が議論に拍車をかけた。

 私は球数制限には賛成できない。「184球」を問題ないと言うつもりもないが、「球数制限をすれば、投手の健康が保たれる」という短絡的な発想には賛同できないし、「球数制限こそ、選手の健康を守る最優先課題だ」とする、あまりに無責任で本質を外れた論調には呆れてしまう。

 高校時代、私は投手だった。その経験も踏まえて言うが、投手が肩や肘を傷める最大の理由は投げすぎではない。投げすぎによる蓄積疲労が故障の要因になることも否定しないが、投手が肘や肩を傷めるのは、多くの場合「一球」だ。

 メディアや大衆は184球を「異常な球数」と決めつけるが、5キロ走ることだっておぼつかない私から見ればマラソンの42キロだって「異常な距離」だ。走った経験のない人間の感覚だけで、「マラソンの距離制限をするべきだ」という大合唱が起きたら妙なものだ。今回の議論には、そのようなおかしさも含んでいることに気づくべきだろう。