「ネトゲ依存症」で引きこもる子どもの病理、親の正しい対応とはスマホやオンラインゲームなどのやり過ぎで、日常生活に支障をきたす状況に陥る「ネット・ゲーム依存」の子どもたちが増えている。彼らはどんな病理を内包しているのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「ネトゲ依存症は病気」
引きこもる人たちをどう救うか

 スマホやオンラインゲームなどのやり過ぎで、日常生活に支障をきたす状況に陥る「ネット・ゲーム依存」について、WHO(世界保健機構)は最近、病気と認定した。

 先月末には、東京都の青少年問題協議会が、スマホの普及やネット上の交流は「生活圏の内省化をもたらし、閉じた世界の中で濃密な関係性を構築して、仲間グループ以外との人間関係のつながりがない」などとして問題視する意見具申を、小池百合子都知事に出している。

 しかし、「そもそも依存症というものに対して誤解がある」と指摘するのは、ネット・ゲーム依存に詳しい、医療法人社団利田会次長の八木眞佐彦(社会福祉士・精神保健福祉士)氏だ。

 八木氏は、法務省東京保護観察所の社会復帰調整官として、心身喪失などの精神症状により重大な他害行為を行った患者の社会復帰支援に携わってきた。現在は、医療法人社団「利田会」で、アルコール、薬物、ギャンブル、ネットゲーム依存などのカウンセリング、グループワーク、保健所などの「ひきこもり家族教室」なども担当している。

 ある家業を経営している父親は、父の望む進路とは全く異なる大学に進学した長男が引きこもりがちになり、ネット・ゲーム依存になった、と相談に来た。

 話を聞くと、父親は息子に「自分の後を継げ」と、息子の意思を無視して迫っていたことがわかった。そこで、八木氏が「むしろゲームに関する雑談に乗ってみてください」とアドバイス。父親が試しに半ば演技で「このキャラいいね」と言ったところ、親子間の会話が増え、息子の引きこもり状態もなくなった。

 息子は、父親に自分の好きな進路を批判された辛さからゲーム依存になり、「なんでこんな不幸な家庭に生まれたんだ」と思っていたが、今では親子関係が良くなり、ゲームを一晩中して引きこもる必要もなくなったのだという。