医療では、病気にかかっているかどうかを見るために、がん検診をはじめ、さまざまな検診が行なわれています。検診を受けると、陽性または陰性の結果が出ます。

 注意すべきは、検査の精度は100%正確なわけではない、ということ。

偽陽性と偽陰性の出現頻度は
相反の関係にある

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 本当は病気にかかっていないのに、陽性の結果が出てしまうことがあります。これは、「偽陽性」と言われます。

 逆に、本当は病気にかかっているのに、陰性の結果が出てしまうことがあります。これは、「偽陰性」と言われます。偽陽性にも、偽陰性にも問題があります。

 まず、偽陽性の場合です。通常、検診で陽性の結果が出ると、本当に病気にかかっているのかどうかを判定するために、精密検査が行なわれます。そこで、大半の人が、病気にかかっていなかったことが判明して、「やれやれ」ということになります。

 しかし、ことはそんなに簡単な話ではありません。検診で陽性の結果を受けた人は、精密検査の結果が出るまで精神的に悩みや苦しみを持つでしょう。

 また通常、精密検査は費用が高く、人手もかかります。したがって、検診で偽陽性が多いことは、精密検査を受ける人の精神面でも、精密検査にかかる費用や手間の面でも負荷が大きいと言えます。

 一方、偽陰性の場合ですが、この場合は、検診を受けたにもかかわらず、病気が判明しません。したがって、何の治療も開始されないのです。

 そして、後日、病気が悪化して、症状が表面化してから、ようやく診断や治療が始まることとなります。診断や治療が後手に回った結果、生命の危険にさらされる場合もあります。

 偽陽性と偽陰性は、一方を低下させようとすると、もう一方が上昇してしまうという相反する関係にあります。

 たとえば、偽陰性を低下させようとして、かなり正確に陽性の結果が出るように、検診の感度を高めると、偽陽性の出現頻度も上昇してしまいます。