中国が製造強国世界一の地位を確固たるものにする中で、日本の製造業が進む道はどこにあるのか――。『週刊ダイヤモンド9月1号』の第1特集は、「自動車・電機・IT 40年で完成した日中逆転の全経緯」です。1978年に「改革開放」を掲げ、日中平和友好条約が調印されてから40年間、日本の製造業を学ぶところから始めた中国はあっという間に日本を逆転してしまいました。特集では、日中逆転の製造業40年史を『第1章 開国 仕組まれた「奉仕と束縛」』『第2章 逆転 電気自滅 自動車ゆでガエル』『第3章 大手経済メディアが報じた中国の膨張』「第4章 覇権 気が付けば中国依存』の4章に渡って振り返っています。本記事はその第4章から、特別に抜粋してお届けします!

トヨタとパナソニックが再び電池でタッグを組んだことは、トヨタが投資競争の世界へ一歩踏み出したといえそうです。両社が再び電池でタッグを組んだ。トヨタが投資競争の世界へ一歩踏み出したといえそうだ

「車載電池の日本連合に、ホンダさんも加わっていただけないでしょうか」

 昨年末に、トヨタ自動車とパナソニックが車載電池で提携発表をする少し前のことだ。豊田章男・トヨタ社長が、東京・青山にあるホンダ本社を訪れていた。出迎えたのは、八郷隆弘社長らホンダの経営上層部数人だ。

 トヨタとパナソニックは、トヨタのお膝元である愛知県付近で大規模電池工場の建設を視野に入れている。その投資額は7000億円規模ともいわれている。

 豊田社長が、礼を尽くして青山へ足を運んだ目的は、その新設工場で製造される電気自動車(EV)向けの電池パック(電池セルをつないだもの)をホンダに売り込むことにあった。巨額投資を早期回収するには、顧客企業の開拓が欠かせないからだ。