高所得層の介護保険自己負担割合が、8月から3割に上がります。Photo:PIXTA

 前回の「高額療養費見直しが総仕上げ、70歳以上の負担はこう変わった」では、70歳以上の高齢者のうち、所得の高い人たちの医療費の負担が引き上げられたことを紹介した。「現役並み」と呼ばれている年収370万円以上の高所得層は、健康保険の高額療養費の限度額が引き上げられたのだ。

 だが、高所得高齢者の負担増は健康保険だけではない。介護保険の自己負担割合も、この8月から最大3割に引き上げられている。

 介護保険の自己負担割合は、2015年8月にも見直されたばかりだが、厳しい保険財政を前に、わずか3年で新たな見直しが行われた。

 どのような人が3割負担になったのだろうか。具体的な見直し内容を見ていこう。

高齢化による介護給付の増加に伴い
投入する税金、保険料も年々アップ

 介護保険は、それまで行政主導で行われていた措置制度に代わるものとして、介護の負担を社会全体で分かち合うために、2000年4月にスタートした国の制度だ。

 40歳以上の人に加入が義務づけられており、原則的に65歳以上で介護が必要になった人がサービスを利用できる。ただし、保険料を負担していることから、40~64歳でも認知症や脳血管疾患、がんなど、加齢が原因で起こる病気で介護が必要になった場合は利用可能だ。

 保険料は、40~64歳の人は健康保険に上乗せする形で徴収され、65歳以上になると老齢基礎年金から天引きされている。

 日本は諸外国に例を見ないスピードで高齢化が進んでいるが、それとともに介護保険の利用者は年々増加している。制度が始まった2000年度に256万人だった要介護・要支援認定者は、2016年度には632万人まで増加。3440万人いる65歳以上人口の18%が、要介護・要支援認定を受けていることになる。