ここ数年、相続税増税に伴う節税対策や、副業収入を狙った不動産投資が過熱してきた。むろん、不動産投資には光もあれば影もある。それを詳らかにしたのが、週刊ダイヤモンド9月8日号の第1特集「まだまだあった不動産投資の罠」だ。特集では巧妙に隠された罠を暴くとともに、不動産投資で押さえておくべき基本的なポイントを示した。だが、押さえておくべきもう一つの罠がある。それが、「相続=“争族”」対策だ。(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 大根田康介)

建てさせたら営業マンは他人事
死後のトラブルは遺言で回避せよ

不動産投資に踏み切るなら、自分の死後のことも考えて、遺言状も用意するべきだろう不動産投資に踏み切るなら、自分の死後のことも考えて、遺言状も用意するべきだ Photo:PIXTA

 「私が亡くなっても、うちの家族は絶対に大丈夫。相続で揉めるようなことはありませんよ」

 そう考えている人は少なくないが、いざ親が亡くなると、兄弟ないし親類縁者までも巻き込んで遺産をめぐる“争族”に発展してしまうケースが後を絶たない。

 「実はここが、不動産投資をする際に最も見落とされがちな落とし穴なのです」

 こう話すのは、大手アパートメーカーの営業職を経て、現在は不動産投資アドバイザーを営んでいるTLSの山田幸一郎氏だ。

 とりわけ地方で不動産投資を行う最大の目的は、相続税の節税だ。だが、アパートメーカーの営業マンの節税話法に踊らされて検討を始めたものの、家賃収入から経費を差っ引いた残りの現金収入や、減価償却費でいくら節税できるかぐらいしか、オーナー(地主)は関心を持たないのが実情だ。