「アメーバ経営」が改めて注目を集めている。経営破たんした日本航空の立て直しに威力を発揮したからだ。アメーバ経営の創出した稲盛和夫京セラ名誉会長とともに歩み、同経営手法の伝道師的存在であるKCCSマネジメントコンサルティングの森田直行会長に、その真髄を聞いた。
(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)

最初は門外不出だった
アメーバ経営

――アメーバ経営はどのようにして誕生したのか。

「アメーバ経営」の伝道者に聞く<br />――JALを復活させた部門別採算制度の真髄<br />KCCSマネジメントコンサルティング<br />森田直行会長インタビューもりた なおゆき/1967年に鹿児島大学工学部卒業、同年、同じ大学の10年先輩である稲盛和夫氏が創業した京都セラミックに入社。「アメーバ経営」に造詣が深い。95年に京セラコミュニケーションシステム(KCCS)の社長に就任、以降8つのグループ会社の経営に携わる。2010年には、日本航空(JAL)に会長として招へいされた稲盛氏の補佐役として日本航空副社長に就任、2012年2月同社退任。

 稲盛和夫さんが昭和34年(1959年)に京都セラミック(現:京セラ)を創業して2年目に、社員から待遇改善の要求を受けて会社の経営理念を作ったのが始まり。みんなに経営参画してもらおうと、会社の状態をオープンにし、自分たちで部門ごとの計画を策定して、実行していくという仕組みを作った。

 私が京都セラミックに入社した1967年は、製造部門だけにこの仕組みを取り入れていた。それを、受注、生産、販売、入金の流れをコンピュータ化して、会社全体でアメーバ経営を実践するシステムを作りあげた。

 全部門の明細が見えるようにし、新しい部署ができれば、アメーバ経営による新しい採算表が出てくる。これを京セラは40~50年続けている。

 アメーバ経営はずっと門外不出だったのだが、23年ほど前に社外でもお役にたてましょうと、コンサルティング会社を設立して、普及に乗り出した。現在ではアメーバ経営を導入している企業は450社になった。