9月3日と4日、中国の北京で“中国アフリカ協力フォーラム”が開催9月3日と4日、中国の北京で“中国アフリカ協力フォーラム”が開催された 写真:代表撮影/ロイター/アフロ

なぜ中国は
アフリカ支援に熱心なのか

 9月3日と4日、中国の北京で“中国アフリカ協力フォーラム”が開催された。中国の習近平国家主席は今後3年間で600億ドル(約6.6兆円)の支援をアフリカ各国に行うと表明し、会議に出席した各国首脳からの喝采を浴びた。

 中国のアフリカ支援に関して、“各国が借金漬けになる恐れがある”との懸念を示す専門家の見方もある。確かに、その可能性はある。ただ、そのリスクを論じる前に、なぜ中国はアフリカ支援に熱心なのか、その理由を冷静に考える必要がある。

 これまでも中国はアフリカ諸国に経済支援を行い、アジアに次ぐ有望市場に着々と橋頭堡を築いている。それは、中国の広域経済圏構想である“一帯一路(21世紀のシルクロード経済圏構想)”推進の一環でもある。

 一方、アフリカ諸国は中国との関係強化によって、“のどから手が出るほど欲しい”インフラ投資などの資金を確保できる。それは、各国首脳に大きなメリットを与えるはずだ。圧倒的な賛意が起きるのもよく分かる。

 それに加え、米国のトランプ大統領の強引な通商・外交政策が、国際社会に影響を与えていることも見逃せない。世界の政治・経済・安全保障の基軸国家の役割を担ってきた米国から距離をとる国が増えるのは仕方ないだろう。

 米国の孤立化は中国にとって自国の経済圏展開のチャンスだ。そのため、中国は米国との貿易戦争や景気減速など苦しい立場にありながらも、資金提供などを呼び水にして各国との関係強化を優先している。長い目で見ると、その差は今後、さらに大きくなるだろう。